ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
HIV感染症では、感染初期にはインフルエンザ様症状を呈することがありますが、その後、数年から10年程度の無症状期間(潜伏期、臨床的無症候期)が存在します。この期間中もウイルスは増殖し、免疫系が徐々に破壊されていきます。
選択肢ごとの解説
- 1. HIVは空気感染では広がりません。主に性的接触、血液感染、母子感染によって伝播します。正しくは:HIVは性的接触、血液感染、母子感染によって広がる。選びやすい理由:一般的な呼吸器感染症ウイルス(インフルエンザウイルス、麻疹ウイルスなど)と混同して、ウイルス感染症全般が空気感染すると誤解するため。混同注意:空気感染するウイルス(例:麻疹ウイルス、結核菌)
- 2. 正解。HIV感染症は、感染初期の急性期症状の後、数年から10年程度の無症状期間(臨床的無症候期)を経て、エイズを発症します。選びやすい理由:疾患の進行は直線的ではなく、症状のない時期が存在するという病態を理解しているか問うため、一見すると症状が常に存在すると思われがちである。混同注意:全ての感染症が常に症状を呈すると考える誤解
- 3. HIVはレトロウイルス科に属するRNAウイルスであり、宿主細胞内で逆転写酵素を用いてRNAからDNAを合成します。正しくは:HIVはRNAウイルスが原因である。選びやすい理由:多くの一般的なウイルス(ヘルペスウイルス、アデノウイルスなど)がDNAウイルスであるため、ウイルスの種類に関する知識が曖昧だと誤って選択しやすい。混同注意:DNAウイルス(例:ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス)
- 4. HIVは主にヘルパーT細胞(CD4陽性Tリンパ球)に感染します。Bリンパ球への直接感染は主要な病態ではありません。正しくは:血液中のヘルパーT細胞(CD4陽性Tリンパ球)に感染する。選びやすい理由:免疫系の細胞であるリンパ球全般に感染すると誤解しやすいため。特にBリンパ球も免疫細胞であるため、選択肢として魅力的である。混同注意:他の免疫細胞(例:Bリンパ球、マクロファージ)
国試ポイント
HIV感染症の病期、特に無症状期間の存在と、それがウイルス増殖・免疫破壊と並行していることを理解する。
混同注意
他の急性ウイルス感染症が症状発現後比較的早期に治癒・回復するのに対し、HIV感染症の無症状期は長期にわたり、その間も感染力がある点が混同されやすい。
次に同じ論点が出たら
HIV感染症に関する問題が出た場合、「無症状期間の有無」と「その期間中の病態生理(ウイルス増殖と免疫破壊)」を正確に判断する。
関連知識
HIVの感染経路(性的接触、血液感染、母子感染)、日和見感染症の出現、CD4陽性T細胞の減少、抗HIV薬による治療(ART)の目的と効果。