Aちゃん(2歳10か月、女児)は昨日から下痢と嘔吐を繰り返し、食事が摂れなくなったため、母親に抱かれて小児科外来を受診した。診察の結果、ウイルス性胃腸炎による中等度の脱水症と診断され入院した。入院時、体温38.2°C、呼吸数36/分、心拍数136/分であった。3日前の保育所の身体計測では身長90 cm、体重12.5 kgであった。 Aちゃんにみられる状態はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
Aちゃんは脱水状態であり、脱水が進行すると細胞外液量が減少し、皮膚の弾力性が失われるため、皮膚のツルゴールは低下する。これは脱水の身体所見として重要である。
選択肢ごとの解説
- 1. Aちゃんの具体的な状態が不明なため、昏睡状態と断定できない。脱水であっても意識レベルは様々である。正しくは:Aちゃんの意識レベルが低下している場合は、昏睡状態に近いと判断できる。選びやすい理由:重度の脱水では意識レベルの低下が見られるため、選択肢として考えやすい。混同注意:意識レベルの低下と脱水症状の重症度。
- 2. 脱水状態では涙腺からの分泌が減少し、流涙は普段より減少するか消失することが多い。正しくは:流涙は減少している、あるいはみられない。選びやすい理由:脱水の初期段階では流涙が保たれている場合があるため。混同注意:軽度脱水と中等度・重度脱水での症状の違い。
- 3. 脱水状態では体液の喪失により体重が減少する。3日前と体重が変わらないというのは脱水の可能性が低いことを示す。正しくは:体重は3日前より減少している。選びやすい理由:体重減少が脱水の明確な指標であることを知らない場合、体調不良だが体重は変わらないと考える可能性がある。混同注意:急性的な体重減少の原因としての脱水と、慢性的な体重減少の原因。
- 4. 脱水状態では体液を保持しようとするため、尿量が減少し排尿頻度も少なくなることが多い。正しくは:排尿頻度は普段より少ない、あるいは排尿がない。選びやすい理由:排尿頻度以外に目立つ症状がある場合、排尿の変化に気づかないことがあるため。混同注意:尿量減少と排尿困難(頻尿と勘違いしやすい)。
- 5. 正解。脱水状態では細胞外液が減少し皮膚の弾力性が失われるため、皮膚のツルゴールは低下する。選びやすい理由:脱水症状として非常に典型的であり、臨床現場でも重視される所見であるため、選びやすい。混同注意:浮腫による皮膚の変化(浮腫ではツルゴールは正常か亢進する)。
国試ポイント
小児の脱水の徴候と評価方法を理解する。特に身体所見として皮膚のツルゴール低下は脱水の重症度を判断する上で重要。
混同注意
皮膚のツルゴール低下は脱水の指標であり、浮腫とは異なる概念である。浮腫は細胞間液の増加を意味し、ツルゴールは正常かむしろ亢進することがある。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、脱水を示す身体所見(皮膚のツルゴール、眼窩陥没、口腔粘膜の乾燥、尿量減少、元気のなさなど)を重点的に確認する。
関連知識
小児の脱水の種類(等張性脱水、高張性脱水、低張性脱水)、経口補液療法(ORT)の適応と禁忌、脱水の重症度分類と治療方針。発熱や下痢などの原因疾患。