Aさん(57歳、男性)は、芳香族アミンを扱う化学工場に39年勤務している。現病歴:ここ数か月で次第に尿の色が濃くなった。いきまないと排尿できなくなり、泌尿器科を受診し、採血および尿検査を受けた。既往歴:特記すべき点なし。生活歴:喫煙40本/日を36年間、焼酎120 mLの飲酒をほぼ毎日、20年間続けている。身体所見:顔面、四肢に浮腫なし、黒色便なし、血便なし。検査所見:赤血球308万/μL、Hb 9.9 g/dL、血清アルブミン4.2 g/dL、血清総ビリルビン0.2 mg/dL、血糖102 mg/dL、ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉5.4 %。 Aさんの尿所見で予測されるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
尿路結石は、結石が尿路の粘膜を物理的に刺激したり損傷したりするため、尿中に血液が混入しやすくなります。この際、出血量が多いと肉眼でも確認できる血尿(肉眼的血尿)として認識されることが非常に多いです。特に、結石の移動による激しい痛み(疝痛)と同時に出現することが特徴的です。
選択肢ごとの解説
- 1. 尿路結石では、タンパク尿が必ずしも主症状ではありません。結石による刺激や感染が併発した場合に、一時的に検出される可能性はありますが、直接的に予測されるものではありません。正しくは:この選択肢は正しくありません。選びやすい理由:腎臓疾患の症状として蛋白尿が想起されがちですが、尿路結石の直接的な予測所見ではありません。混同注意:腎臓疾患と尿路結石の尿所見を混同する可能性があります。
- 2. 尿路結石と尿糖陽性(糖尿病の所見)には直接的な関連性はありません。糖尿病が尿路結石のリスク因子となることはありますが、尿路結石の尿所見として尿糖が予測されることはありません。正しくは:この選択肢は正しくありません。選びやすい理由:一般的な尿検査項目であるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、関連性は低いです。混同注意:様々な尿所見の知識が混在し、無関係な項目を選択する可能性があります。
- 3. 正解。尿路結石では、結石が尿路を刺激したり、粘膜を損傷したりすることで出血が生じ、肉眼的血尿(目で見て赤や茶色とわかる血尿)が出現することが非常に多いです。激しい腰痛とともに最も特徴的な所見の一つです。正しくは:この選択肢は正しいです。選びやすい理由:血尿には肉眼的血尿と顕微鏡的血尿がありますが、尿路結石の強い症状として肉眼的血尿がよくみられます。混同注意:他の疾患でも血尿が見られるため、尿路結石に特有のものか判断に迷うかもしれません。
- 4. ビリルビン尿は肝疾患や胆道系疾患(閉塞性黄疸など)で認められる所見であり、尿路結石では通常見られません。尿路結石は尿路の病態であり、ビリルビン代謝とは直接関連がありません。正しくは:この選択肢は正しくありません。選びやすい理由:肝機能の異常を示す尿所見としてビリルビン尿は知られていますが、尿路結石とは無関係です。混同注意:消化器系疾患と尿路系疾患の尿所見を混同する可能性があります。
国試ポイント
尿路結石の主な症状と検査所見を理解しているかが問われています。特に、血尿は尿路結石の典型的な症状であることを確実に把握しておく必要があります。
混同注意
尿路感染症でも血尿が見られることがありますが、通常は発熱や排尿痛、膿尿を伴います。膀胱炎など下部尿路の炎症でも血尿は起こり得ますが、尿路結石による血尿は疝痛を伴うことが多い点で鑑別されます。また、腎炎などの腎実質疾患でも血尿は出現しますが、蛋白尿を伴うことが多いです。
次に同じ論点が出たら
Aさんの他の症状(例えば、痛みの種類や部位、発熱の有無など)や、過去の病歴(糖尿病、痛風など)を考慮することで、より詳細な診断を推測できます。また、画像検査の結果(結石の位置や大きさ)も重要な情報となります。
関連知識
尿路結石の症状には、背部や側腹部の激しい痛み(腎疝痛)、血尿の他に、吐き気・嘔吐、頻尿、残尿感などがあります。診断には、尿検査(潜血陽性、時に感染を示す白血球など)、画像検査(X線、超音波、CT)が用いられます。治療は、疼痛管理、水分摂取、自然排石促進、体外衝撃波砕石術(ESWL)、内視鏡手術などがあります。