看護師が医療事故を起こした場合の法的責任について正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
看護師が医療事故を起こし、その結果として罰金以上の刑に処せられた場合、それは保健師助産師看護師法に基づく行政処分の対象となります。これは、看護師の免許の信頼性や適格性を維持するために設けられた制度です。具体的には、厚生労働大臣が情状により戒告、3か月以内の業務停止、または免許の取り消しを行うことができます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。保健師助産師看護師法第29条に基づき、罰金以上の刑に処せられた看護師は、厚生労働大臣による免許の取り消しや業務停止命令の対象となり得ます。これは行政処分の根拠となります。
- 2. 業務停止処分は、医療事故の状況や結果、看護師の過失の程度などを総合的に判断して決定されます。事故の程度にかかわらず「必ず」業務停止となるわけではありません。戒告、業務停止、免許取り消しのうち、最も適切な処分が選ばれます。正しくは:医療事故の重大性や状況に応じて、業務停止処分が検討されます。選びやすい理由:医療事故が起きたら何らかの処分は避けられないだろう、という認識から選んでしまいがちです。しかし、処分の種類はケースバイケースで異なります。混同注意:行政処分の種類(戒告、業務停止、免許取消)と、その適用基準の厳格さ。
- 3. 業務上過失致死傷罪は刑法に定められた刑事責任であり、民事責任ではありません。民事責任は不法行為による損害賠償責任などが該当します。正しくは:刑事責任として業務上過失致死傷罪に問われる可能性があります。または、民事責任として不法行為による損害賠償責任を負う可能性があります。選びやすい理由:業務上過失致死傷罪という言葉自体は医療事故と関連が深いため、つい正しい選択肢だと思ってしまいがちです。しかし、「民事責任として」という点が誤りです。混同注意:民事責任と刑事責任の区別。業務上過失致死傷罪は刑事罰。
- 4. 使用者責任は民法第715条に定められた民事責任であり、刑法に基づくものではありません。また、刑事責任は原則として行為者個人に科せられ、法人に使用者責任は及びません。正しくは:民法に基づいて、看護師が所属する医療施設が使用者責任を負う可能性があります。選びやすい理由:医療施設が責任を負うことは事実であるため、正しいと思われがちですが、その根拠となる法律が誤っています。混同注意:使用者責任の法的根拠(民法)と、刑事責任と民事責任の適用範囲。
国試ポイント
看護師の法的責任(刑事責任、民事責任、行政責任)とその根拠法規(刑法、民法、保健師助産師看護師法)を正確に理解しているか、またそれぞれの責任の種類と内容を混同せずに区別できるかが問われています。特に、罰金以上の刑が行政処分のトリガーになる点を押さえることが重要です。
混同注意
民事責任と刑事責任の混同、行政処分の適用基準、使用者責任の法的根拠。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、個別の法律(民法、刑法、保健師助産師看護師法)と、それぞれの法律が規定する責任の種類(民事、刑事、行政)の関係性を正しく区別できるかを確認しましょう。特に、具体的な事故事例と責任の種類を結びつけられるかが重要です。
関連知識
保健師助産師看護師法第29条、第30条(行政処分)、民法第715条(使用者責任)、刑法第211条(業務上過失致死傷罪)。