A君(5歳)は父親(40歳)、母親(38歳)と兄(10歳)の4人家族である。A君は生後6か月のときに白血病と診断され化学療法で寛解し、退院後は幼稚園に登園していた。4歳になって再発し、兄を骨髄ドナーとした造血幹細胞移植を受けた。 数日後、両親から「Aが亡くなることをAの兄にどのように説明したらよいでしょうか。私たちでは、うまく説明できません」と相談があった。看護師の両親への対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
両親は、子どもが亡くなることを兄にどう伝えるかについて、明確な困難を訴えています。看護師は、子どもの心理発達や、家族の悲嘆プロセスに対する専門知識を持っています。この状況において、看護師が同席を申し出ることは、両親の精神的な負担を軽減し、兄弟への適切な説明をサポートする最も適切な対応です。専門家が立ち会うことで、子どもへの情報提供が適切に行われるだけでなく、子どもの反応に対するサポートも迅速に提供できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 子どもの死は家族全体に大きな影響を与えます。兄弟への情報共有は、彼が状況を理解し、悲しみに向き合うための重要なプロセスです。尋ねてくるのを待つだけでは、必要な情報提供が遅れ、不必要な不安や混乱を招く可能性があります。正しくは:能動的に、年齢や発達段階に応じた適切な情報提供の機会を設けるべきです。選びやすい理由:子どもが自ら問いかけるのを待つ方が、負担が少ないと感じるかもしれませんが、適切なサポートなしに待つことは問題解決につながりません。混同注意:子どもの精神的負担を考慮し、情報過多にならないようにという配慮から、尋ねてくるまで待つことが適切だと誤解する可能性があります。しかし、不安な状況で情報が不足することは、精神的負担を増大させます。
- 2. 子どもに対して死を偽って伝えることは、信頼関係を損ね、後に大きな精神的ダメージを与える可能性があります。子どもは状況を敏感に察知するため、嘘はかえって混乱や不信感を生じさせます。正しくは:子どもの発達段階に合わせて、誠実に真実を伝える支援をすべきです。選びやすい理由:子どもの精神的ショックを軽減したいという親心や看護師の配慮から、治ると伝える方が良いのではないかと考えるかもしれません。混同注意:幼い子どもには直接的な死の言葉を避けるべきだという考えと混同し、治るというポジティブな言葉で安心させようとすることが、結果的に不誠実な対応となることを理解し損ねる可能性があります。
- 3. 正解。両親は子どもの死を兄にどう伝えるかという困難な状況に直面しており、精神的な負担が大きいです。看護師が同席し、専門的な立場から支援を提供することで、両親の負担を軽減し、子どもへの適切な説明をサポートできます。医療者としての専門知識と、子どもの心理発達に関する理解に基づいた介入は、家族がこの困難な局面を乗り越える上で非常に有効です。また、場に同席することで、子どもの反応を直接観察し、必要に応じてサポートを調整することも可能になります。正しくは:この選択肢は適切です。看護師が専門家として家族をサポートする姿勢を示しています。選びやすい理由:家族間のデリケートな問題に看護師がどこまで介入すべきか迷うかもしれませんが、両親からの具体的な相談であるため、積極的に支援を申し出るのが適切です。混同注意:家族間のプライベートな会話に介入することへの抵抗感から、選択肢を迷う可能性があります。しかし、今回は両親からの明確な支援要請であり、看護師の専門性が求められる場面です。
- 4. ドナーになった子どもが妹の死を知らないままでは、後になって真実を知った時に、大きな不信感と精神的な苦痛を抱えることになります。また、臓器提供の事実と死の結びつきに関して、誤解や罪悪感を抱く可能性もあります。真実を隠すことは、長期的に見て家族関係にも悪影響を及ぼします。正しくは:ドナーであった事実を考慮しつつ、年齢や発達段階に応じた適切な情報提供と心理的ケアが必要です。選びやすい理由:子どもが努力した結果が報われなかったという事実に直面させたくないという気持ちから、この選択肢を選びたくなるかもしれません。混同注意:ドナーとしての役割を果たした子どもへの配慮として、失望させないことが最優先だと考えるかもしれませんが、真実を伝えないことは、かえって子どもの心理的健康を損ねる行為です。臓器提供と死の因果関係を混同する誤解を招く可能性もあります。
国試ポイント
小児の死と家族への心理的ケア、特に兄弟姉妹へのグリーフケアに関する理解が問われています。看護師の倫理的配慮と専門的介入の重要性がポイントです。
混同注意
子どものデリケートな心に配慮するあまり、真実を伝えることをためらったり、時期を待ちすぎたりする選択肢と混同しやすいです。しかし、真実を隠すことは長期的な精神的健康を損ないます。適切なタイミングで、発達段階に応じた真実を伝える支援が重要です。
次に同じ論点が出たら
この後、看護師は両親と相談し、具体的な説明の場を設定し、説明内容や子どもの反応への対応について準備を進める必要があります。また、必要に応じて心理士などの専門職との連携も検討します。
関連知識
小児に対する告知、グリーフケア、家族看護の原則、アドボカシー、子どもの権利擁護。特に、発達段階に応じた死の概念の理解と説明方法について。