Aさん(55歳、女性)は、夫と2人で暮らしている。進行性の多発性硬化症で在宅療養をしている。脊髄系の症状が主で、両下肢の麻痺、膀胱直腸障害および尿閉がある。最近は座位の保持が難しく、疲れやすくなってきている。排尿はセルフカテーテルを使用してAさんが自己導尿を行い、排便は訪問看護師が浣腸を行っている。夫は仕事のため日中は不在である。Aさんの身体状態に合わせた療養生活で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
多発性硬化症で両下肢麻痺があり、座った姿勢の保持が困難で疲労感を訴えるAさんにとって、転倒リスクを低減し、かつ身体的負担を軽減するためには、入浴はシャワー浴が適切です。湯船への出入りは転倒リスクが高く、体力を消耗するため避けるべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。多発性硬化症による両下肢麻痺、座位保持困難、疲労感を考慮すると、シャワーチェアなどを利用できるシャワー浴は、転倒リスクが低く、身体的負担も少ないため適切です。選びやすい理由:身体状況に適した安全な入浴方法だから。混同注意:全身浴の方が温まるという一般論や、患者の希望との混同。
- 2. Aさんは両下肢麻痺があり、座った姿勢を保つことが難しく、疲労感も訴えているため、自分で操作する自走型車椅子ではなく、介助者が押す介助型の車椅子が適しています。正しくは:自走型車椅子ではなく、介助型車椅子を利用する。選びやすい理由:「車椅子」という言葉から、移動手段としての適切な選択肢に見えるため。混同注意:患者の残存機能に応じた車椅子の選択(自走型と介助型)の区別。
- 3. ベッドの高さは、患者の乗り降りのしやすさや介助者の作業性を考慮して調整することが重要です。最低の位置に固定すると、立ち上がりにくくなったり、介助者の腰への負担が大きくなったりする可能性があります。適切な高さに調整可能なベッドを利用し、必要に応じて介助者が使いやすい高さにすることが重要です。正しくは:ベッドの高さは、乗り降りのしやすさや介助のしやすさを考慮して調整する。選びやすい理由:転落防止のために低くすることが安全であると一見思えるため。混同注意:転落防止と、起立・移乗のしやすさのバランスの考慮。
- 4. セルフカテーテルは清潔操作が必要な医療器具であり、トイレは衛生的ではない環境です。感染のリスクを避けるため、清潔で乾燥した場所に保管するべきです。正しくは:セルフカテーテルは清潔で乾燥した場所に保管する。選びやすい理由:自己導尿をトイレで行うことから、そこに保管することも自然だと錯覚する可能性があるため。混同注意:使用場所と保管場所の衛生的な区別。
国試ポイント
多発性硬化症患者の身体状況に応じた生活支援方法の理解。
混同注意
患者の自立支援と安全確保のバランス。できることはさせたいという思いから、過度な自立支援を選択し、安全性を損なう可能性。
次に同じ論点が出たら
患者の具体的な身体機能レベル、残存能力、疲労の程度、および介助の可否(同居家族の有無、介護者の有無)を総合的に判断する。
関連知識
多発性硬化症の症状(疲労、麻痺、膀胱直腸障害)とそれに対する日常生活支援(自己導尿、排便管理、転倒予防、疲労管理)を関連付けて理解すること。特に疲労は症状の悪化因子となるため、体力温存が重要。