Aさん(73歳、男性)は慢性閉塞性肺疾患で在宅酸素療法〈HOT〉を受けている。受診時にAさんが「1人でお風呂に入っているが、息切れが強い」と訴えたため、外来看護師は入浴時の具体的な状況を確認した。外来看護師がAさんに確認した内容で、息切れの原因と考えられるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
COPD患者は、安静時でも低酸素血症を呈することが多く、運動時にはさらに酸素需要が増大します。在宅酸素療法(HOT)を実施しているAさんが洗髪中に鼻カニューレを一時的に外すと、酸素供給が途絶え、低酸素状態が急激に悪化し、強い息切れを引き起こす可能性が最も高いです。特に洗髪中は前かがみになる姿勢が多く、胸郭が圧迫され、呼吸筋の負荷も増大するため、より酸素を必要とします。
選択肢ごとの解説
- 1. シャワー浴は湯船に浸かる入浴に比べて身体への負担が少ない場合が多く、息切れの原因とは考えにくいです。むしろ、浴槽への出入りによる転倒リスクや労作を軽減できるため、COPD患者には推奨される入浴方法の一つです。正しくは:シャワー浴は、浴槽への出入りによる体位変換の労作を軽減し、全身の保温効果もあり、入浴による身体的負担を軽減できるため、息切れの原因とはなりにくいです。選びやすい理由:入浴自体がCOPD患者にとって負担であるため、入浴方法の選択が息切れの原因であると考える可能性があるからです。混同注意:入浴行為そのものと入浴方法の選択。
- 2. 椅子に座って着替えを行うことは、立位での着替えに比べて労作を軽減し、体力を温存できるため、息切れを予防するための工夫として推奨される行動です。したがって、息切れの原因とは考えにくいです。正しくは:椅子に座って着替えることは、体位変換に伴う呼吸困難感を軽減し、息切れを予防する効果的な手段です。選びやすい理由:着替えという動作が入浴前後の活動として息切れを引き起こしやすい活動であるため、その方法が原因だと誤解する可能性があります。混同注意:着替えという行為と、その行為を楽にするための工夫。
- 3. 正解。在宅酸素療法中の患者が酸素供給を中断することは、低酸素血症の増悪に直結し、息切れの最も直接的な原因となります。特に洗髪中は前かがみになることが多く、呼吸筋への負担も大きいため、酸素の離脱は危険です。
- 4. 浴室のドアを開けたまま入浴することは、浴室内の温度が下がり、体が冷える可能性がありますが、直接的な息切れの原因としては考えにくいです。COPD患者では急激な温度変化により気管支攣縮が誘発される可能性はありますが、一時的なカニューレの離脱と比較すると優先順位は低いです。正しくは:浴室のドアを開けたまま入浴することは、浴室の温度低下を招き体温調節に影響を与える可能性はあるものの、直接的な息切れの主な原因とは考えにくいです。COPD患者の場合、浴室の温度は25〜26℃が推奨されます。選びやすい理由:浴室の環境が息切れに影響を与えるという認識から、ドアの開閉が関係すると考える可能性があります。混同注意:浴室の温度環境が間接的に呼吸に影響を与える可能性と、直接的な酸素供給の中断による息切れ。
国試ポイント
在宅酸素療法(HOT)中の患者の日常生活における酸素療法継続の重要性と、低酸素血症悪化因子を理解する。
混同注意
COPD患者の息切れの原因は多岐にわたるが、HOT施行中の患者においては、酸素供給の中断が最も直接的かつ緊急性の高い悪化要因であることを理解することが重要です。
次に同じ論点が出たら
在宅酸素療法中の患者の息切れの原因を問う問題が出た場合、まず酸素療法が適切に継続されているか(カニューレ装着状況、流量設定、機器の故障など)を確認し、次に身体活動や環境要因を検討して判断します。
関連知識
COPD患者の入浴時の注意点として、入浴前後のバイタルサイン測定、浴槽への出入りの介助、浴室の温度管理(熱すぎない)、十分な換気、湯の温度設定(体力を消耗させない)、そして酸素療法中断の回避が挙げられます。また、活動時には酸素流量を増やすことも検討されます。