Aさん(30歳、初産婦、会社員)は、夫と2人暮らし。妊娠38週6日で3,200 gの児を正常分娩した。分娩後から母児同室を開始しており、母乳育児を希望している。 産褥2日。乳房の緊満はなく、熱感がある。初乳から移行乳へと変化している。Aさんの児の抱き方はぎこちなく、乳頭をくわえさせるのに時間がかかっている。産褥1日から2日にかけた24時間で、14回の直接授乳をしている。児の体重は3,060 gで、体重減少率は4.4 %、排尿は3回/日、排便は2回/日である。Aさんは「あまり母乳が出ていないようですが、人工乳を足した方がよいですか」と看護師に相談した。この時、看護師がアセスメントする項目で最も重要なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
新生児の体重減少は生理的な現象であり、通常は出生後3~5日でピークを迎え、出生体重の5~10%以内であれば正常範囲とされます。産褥3日目の4.4%という体重減少率は、現在のところ生理的範囲内であり、Aさんの「母乳が足りていないのでは」という不安に対し、客観的な根拠をもって「問題ない」と安心させる、あるいは「介入が必要」と判断する上で、最も重要な指標となります。この情報に基づいて、授乳方法の改善指導や追加のミルクの必要性を検討することになります。
選択肢ごとの解説
- 1. 授乳回数もアセスメントの一部ですが、Aさんの主な訴えが「母乳が出ていない」という不安であり、児の体重減少率という客観的な指標の方が、児が適切に栄養摂取できているかを判断する上でより重要性が高いです。特に授乳回数が多くても効果的な授乳でなければ、児の体重減少に繋がります。正しくは:直接授乳回数はあくまで授乳頻度を示すものであり、児の栄養摂取状況を直接的に示すものではないため、これのみで母乳が足りているかを判断することはできません。選びやすい理由:授乳回数は母乳育児の指標の一つであり、多ければ多いほど良いというイメージがあるため、重要だと感じやすいかもしれません。混同注意:授乳回数が多いことは一般的に良いこととされていますが、重要なのは「効果的な授乳」であり、回数だけで判断することはできません。
- 2. 母乳の分泌状況もアセスメントとして必要ですが、Aさんの相談の根底にあるのは「児に十分な母乳が与えられているか」という児の栄養状態への懸念です。母乳分泌が十分でも、児がうまく飲めていなければ、結果として児の体重減少につながります。児の体重減少率という客観的な指標が、児がどれだけ栄養を摂取できているかを直接的に示します。正しくは:母乳分泌状況は間接的な情報であり、児の体重減少率という児の栄養摂取状況を直接的に示す情報よりも優先度は下がります。選びやすい理由:Aさんの「あまり母乳が出ていないようですが」という訴えに直結するため、非常に重要に思えるかもしれません。混同注意:母乳分泌状況と、児の栄養摂取状況は異なります。分泌があっても児がうまく飲めていなければ意味がありません。
- 3. 正解。Aさんの「母乳が足りているか」という不安に対し、児が実際に十分な栄養を摂取できているかを判断する上で、体重減少率は最も客観的で重要な指標です。新生児の体重減少は生理的なものですが、減少率が過度である場合は、母乳不足や授乳方法の問題を示唆し、適切な介入が必要となるため、最優先でアセスメントすべき項目です。現状の4.4%は生理的範囲内であり、過度な心配は不要であることを伝える根拠にもなります。
- 4. 児の排尿は3回/日、排便は2回/日であり、生後2日としては問題のない回数です。母乳が足りているかを判断するには、児の体重減少率を最も重視します。正しくは:排泄の状況もあわせて確認しますが、最も重要なのは体重減少率(4.4%で生理的範囲内)です。選びやすい理由:排泄状況は、水分摂取や栄養摂取の目安としてよく用いられるため、重要だと感じやすい項目です。混同注意:排泄状況も摂取状況を反映しますが、体重減少率の方が新生児期の栄養摂取の適否を総合的に判断する上で、より包括的かつ客観的な指標です。
国試ポイント
新生児の生理的体重減少の知識と、母乳育児のアセスメントにおいて最も客観的かつ優先すべき指標は何かを問う問題です。母親の主観的な訴えだけでなく、児の客観的な状態を評価することの重要性が問われています。
混同注意
母乳育児のアセスメントには、授乳回数、母親の乳房状態、児の吸啜状況、児の排泄状況など、多くの項目がありますが、最も優先すべきは児の体重の客観的な変化であるという点を理解しているかが試されます。
次に同じ論点が出たら
児の体重減少率が生理的範囲を逸脱している場合は、授乳方法の再評価(抱き方、吸い付かせ方)、授乳量の測定、場合によっては人工乳の追加を検討します。生理的範囲内であれば、母親への安心保障と正しい授乳方法の継続を促します。
関連知識
新生児の生理的体重減少(正常範囲5~10%)、母乳の十分性を示す指標(排尿回数、排便回数、児の活気など)。低出生体重児や多胎児の場合は、生理的体重減少の許容範囲が異なる場合がある。