Aさん(68歳、男性、自営業)は、妻(73歳)と2人暮らし。Aさんの就寝時刻は21時で、入眠後90分以上が経過した睡眠中に、大声で叫び、腕や足を振り回し暴れる行動が繰り返しみられたが、昼寝では夜間のような行動はみられない。日中、台所で子どもが遊んでいると言い、妻が台所を確認しても誰もいないことが何度かあった。心配になった妻がAさんとともに病院を受診し、Lewy〈レビー〉小体型認知症と診断された。 Aさんに出現している睡眠障害はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
レム睡眠行動障害は、夢の内容と一致した複雑な行動がレム睡眠中に現れることが特徴です。通常、レム睡眠中は筋肉の緊張が消失しますが、この障害ではそれが障害されるため、夢と連動した行動(叫ぶ、暴れるなど)が睡眠中に起こります。与えられた設問は、この特徴を明確に示唆しています。
選択肢ごとの解説
- 1. ナルコレプシーは日中の耐え難い眠気、情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時幻覚などを特徴とする睡眠障害です。Aさんの記述とは合致しません。正しくは:日中の強い眠気や突然の脱力発作が見られる場合に疑われます。選びやすい理由:睡眠に関する問題であるため、広義の睡眠障害として誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:レム睡眠行動障害と異なり、日中の症状が中心で、夜間の具体的な異常行動は通常伴いません。
- 2. 正解。レム睡眠行動障害は、レム睡眠中に夢の内容に合わせて体が動き出す(夢の再現行動)ことが特徴です。通常レム睡眠中に起こる筋弛緩が起こらないために発生し、激しい寝言や行動(叫び、殴る、蹴るなど)が見られます。Aさんの症状と一致します。選びやすい理由:症状が派手で分かりやすいため、関連知識があれば正答しやすいです。混同注意:夢遊病(ノンレム睡眠行動障害)と混同しやすいですが、レム睡眠行動障害は夢の内容と一致した複雑な行動がレム睡眠期に発生するのが特徴です。
- 3. 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に呼吸が止まることや低呼吸を繰り返す病気です。いびき、日中の眠気、起床時の頭痛などが主な症状であり、睡眠中に体を激しく動かすような行動は通常見られません。正しくは:大きないびきや日中の強い眠気が認められる場合に疑われます。選びやすい理由:比較的有名な睡眠障害であるため、知識の曖昧さから選んでしまう可能性があります。混同注意:いびきが激しい点で睡眠時無呼吸症候群を想起するかもしれませんが、体の動きを伴う点が異なります。
- 4. 睡眠・覚醒スケジュール障害は、概日リズムの乱れによって睡眠・覚醒リズムが社会生活と同期しない状態を指します(例:時差ボケ、交代勤務によるもの、非24時間睡眠・覚醒症候群など)。睡眠中の異常な身体活動とは異なります。正しくは:不規則な勤務形態や時差により、睡眠時間がずれたり、夜勤明けに眠れないなどの症状がある場合に疑われます。選びやすい理由:睡眠全体のリズムの乱れを漠然と捉えて、睡眠に関する問題として誤って選択する可能性があります。混同注意:睡眠の質の問題ではなく、睡眠のタイミングやリズムの問題である点で、レム睡眠行動障害とは異なります。
国試ポイント
レム睡眠行動障害の典型的な症状(夢の内容に合わせた身体活動、レム睡眠中に発生)を理解しているか、他の睡眠障害と鑑別できるかが問われています。
混同注意
夢遊病(ノンレム睡眠行動障害)との鑑別。夢遊病はノンレム睡眠中に起こり、夢と関連しない歩行などの自動症が特徴です。レム睡眠行動障害はレム睡眠中に起こり、夢の内容と一致した行動が特徴です。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合は、睡眠中の異常行動が「いつの睡眠相で」「どのような行動か」「夢との関連性」に注目して鑑別します。
関連知識
睡眠相の構造(レム睡眠とノンレム睡眠の役割)、レム睡眠時の生理学的変化(筋弛緩など)、その他の主な睡眠障害(不眠症、過眠症、睡眠関連呼吸障害など)の症状と特徴。