現在の日本の終末期医療において、患者の将来の自己決定能力の低下に備えて、患者・家族と医療者が今後の治療・療養についての気がかりや価値観を定期的に話し合って共有し、患者の意向に沿った医療を提供することが望ましいとされている。この内容を示すのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、患者が将来の意思決定能力の低下に備えて、自身の価値観や医療・ケアに関する希望について、医療者や家族と繰り返し話し合い、共有するプロセス全体を指します。これは、質問文に示された『患者・家族と医療者が今後の治療・療養についての気がかりや価値観を定期的に話し合って共有し、患者の意向に沿った医療を提供することが望ましい』という内容と完全に合致します。アドバンスディレクティブ(事前指示)はACPの一部であり、書面による具体的な指示を意味しますが、ACPは話し合いのプロセスそのものに重点を置いた、より包括的な概念です。
選択肢ごとの解説
- 1. グリーフケアは、死別などによって悲嘆に暮れる人に対して行われる心理社会的支援を指します。患者の将来の自己決定能力低下に備えた話し合いとは直接関係ありません。正しくは:死別体験を持つ人々への心理的・社会的な支援。選びやすい理由:終末期医療に関連する用語ではあるため、関連性を感じるかもしれない。混同注意:死別後の支援と事前の方針決定を混同する可能性。
- 2. 代理意思決定は、患者が意思決定能力を失った際に、患者の意思を推測し、代わって決定を行うプロセスやその支援を指します。質問文にあるような、能力喪失前に患者本人も交えて継続的に話し合い、将来に備えるという広範なプロセス全体を指すものではありません。正しくは:患者が意思決定能力を失った際に、その患者の意向を推測して医療判断を下すことを支援する活動。選びやすい理由:自己決定能力の低下に関連するため、一部の側面を捉えているように見える。混同注意:具体的な代理決定の局面と、それ以前の包括的な準備プロセスを混同する可能性。
- 3. 正解。アドバンス・ケア・プランニング(ACP)は、患者が将来の意思決定能力喪失に備え、医療者や家族と繰り返し話し合い、自身の価値観や治療への希望を共有し、文書化するプロセス全体を指します。これは問題文で述べられている内容そのものです。正しくは:将来の医療・ケアに関する患者の意向を、医療者や家族と事前に話し合い、共有し、文書化するプロセス。選びやすい理由:非常に類似した概念であり、この問題の核となる用語。混同注意:アドバンス・ディレクティブ(事前指示)と混同されやすいが、ACPはプロセス全体を指すのに対し、事前指示は文書化された具体的な指示を指すため、ACPの方がより包括的な概念。
- 4. アドバンスディレクティブ(事前指示)は、患者が将来の医療に関する具体的な希望を事前に書面で表明したものです。これはアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の一部ではありますが、質問文にある『患者・家族と医療者が今後の治療・療養についての気がかりや価値観を定期的に話し合って共有し』という、話し合いのプロセス全体を示すものではありません。正しくは:将来の医療に関する具体的な指示を、患者が書面で作成する際の支援。選びやすい理由:ACPと関連が深く、非常に近い概念であるため、選択肢として魅力的。混同注意:ACPは『プロセス』全体を指すのに対し、アドバンスディレクティブは『文書』や『具体的な指示』を指す。ACPがより広範な概念である点を理解していないと混同しやすい。
国試ポイント
この問題は、終末期医療における『アドバンス・ケア・プランニング(ACP)』の概念を正確に理解しているかを問うものです。ACPは、患者中心の医療を推進する上で非常に重要な考え方であり、看護師としてその意義と内容を把握しておく必要があります。特に、ACPとアドバンスディレクティブ(事前指示)の違いを明確に理解しておくことがポイントです。
混同注意
アドバンス・ケア・プランニング(ACP)とアドバンスディレクティブ(事前指示)は混同しやすい概念です。ACPは『プロセス』であり、話し合いや価値観の共有、継続的な見直しを含みます。一方、アドバンスディレクティブは、ACPのプロセスの中で作成される『具体的な書面による指示』や『文書』を指します。ACPの方がより包括的です。
次に同じ論点が出たら
患者が意思決定能力を失った際に、どのような情報に基づいて医療者が判断を下すか、また家族はその過程でどのような役割を果たすか、といった具体的な場面での看護師の対応能力も問われる可能性があります。
関連知識
ACPは、人生の最終段階における医療及びケアの決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省)で重要視されており、患者の意思を尊重した医療を提供するために不可欠な要素とされています。インフォームド・コンセント、共有意思決定(SDM)の考え方とも密接に関連します。