Aさん(23歳、女性)。両親との3人暮らし。Aさんは大学受験に失敗して以来、自宅に引きこもりがちになった。1年前から手洗いを繰り返すようになり、最近では夜中も起き出して手を洗い、手の皮膚が荒れてもやめなくなった。心配した母親が付き添って受診したところ、Aさんは強迫性障害と診断された。母親は、Aさんについて「中学生までは成績優秀で、おとなしい子どもだった」と言う。Aさんには極度に疲労している様子がみられたことから、その日のうちに任意入院となった。 Aさんは、食事の時間以外は他の患者との接触を避け、病室で1人で過ごしている。両親は共働きで、毎日面会に来ることはできない。Aさんは自宅に面会の催促の電話をかけては母親と口論している。Aさんとの関わりに心身ともに疲れ果てた母親が、看護師に相談してきた。母親への看護師の対応で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんと母親の間にはコミュニケーションの課題があり、それが互いのストレスの原因となっています。看護師が話し合いの場に同席することで、中立的な立場から両者の感情や状況を整理し、誤解を解消し、建設的な対話が生まれるよう支援することが可能です。これは、患者と家族の関係性を改善し、母親の疲弊軽減にも繋がる最も根本的かつ有効なアプローチです。
選択肢ごとの解説
- 1. 両親は共働きであり、毎日面会に来ることは困難であると明記されているため、この提案は現実的ではありません。母親の疲弊を増す可能性があります。正しくは:両親の状況を考慮し、現実的に可能な支援を検討する。選びやすい理由:面会の頻度を増やすことがAさんの孤立感軽減に繋がると思われがちですが、両親の負担を考慮すると適切ではありません。混同注意:患者のニーズと家族の状況を混同し、理想的なケアのみを追求すると誤った選択をしてしまうことがあります。
- 2. 患者のプライバシーやコミュニケーションの権利を一方的に制限することは適切ではありません。また、このような約束をしても、患者が自宅へ連絡する手段を完全に断つことは困難であり、信頼関係を損なう可能性があります。根本的な問題解決には繋がりません。正しくは:患者の権利を尊重しつつ、家族とのコミュニケーションについて患者と話し合う機会を設ける。選びやすい理由:母親の負担を軽減したいという気持ちから、連絡制限が一時的な解決策に見えるかもしれませんが、患者の権利侵害や根本的な問題の先送りにしかなりません。混同注意:看護師が家族の要望を全て受け入れるべきだと誤解すると、患者の権利を侵害する選択をしてしまう可能性があります。
- 3. Aさんの苦悩はAさん自身が母親に伝えるべきであり、看護師が代理で伝えることは適切ではありません。患者と家族間の直接的なコミュニケーションを阻害し、互いの感情を理解する機会を奪います。また、看護師が患者の気持ちを代弁することで、患者の自律性を損なう可能性もあります。正しくは:患者と家族が直接コミュニケーションを取れるよう支援し、そのプロセスを促進する。選びやすい理由:母親がAさんの苦悩を知ることで理解が深まるという意図から選んでしまいがちですが、伝達の主体は患者本人であるべきです。混同注意:家族の理解を深めることが目的で、看護師が仲介者となるべきだと誤解すると、患者の自律性や家族間の直接的な関係構築を阻害してしまいます。
- 4. 正解。Aさんと母親が直接話し合う場に看護師が同席することで、両者の間に生じているコミュニケーションの課題を明確にし、解決へ向けて支援することができます。看護師は中立的な立場で、感情的になっている両者の意見を調整し、誤解を解消し、互いの気持ちを理解できるよう促す役割を果たすことができます。これは、根本的な問題解決に繋がる最も適切な対応です。正しくは:(正答のため修正不要)選びやすい理由:特になし。最も適切な選択肢。混同注意:特になし。この選択肢は、患者と家族のコミュニケーション問題を解決するための看護師の役割として非常に重要です。
国試ポイント
患者と家族の関係性、コミュニケーション支援、家族支援の原則が問われています。特に、看護師が単なる情報伝達者ではなく、コミュニケーションの促進者として機能する重要性を理解しているかがポイントです。
混同注意
家族の負担を軽減しようとする気持ちから、面会頻度の調整や連絡制限を考えてしまいがちですが、患者の権利尊重と根本的な問題解決に繋がる支援がより重要です。
次に同じ論点が出たら
話し合いの同席後、具体的なコミュニケーションの改善策や、Aさんの孤立感を軽減するための他の介入(例: グループ活動への参加、病棟スタッフとの関係構築)を検討します。
関連知識
家族看護、危機介入、コミュニケーション技法、リエゾン、患者の権利。