A君(8歳、男児、小学3年生)は、父親(40歳、会社員)と母親(38歳、主婦)との3人暮らし。多飲と夜尿を主訴に小児科を受診した。尿糖4+のため、1型糖尿病の疑いで病院に紹介され、精密検査を目的に入院した。A君は身長123 cm、体重27.5 kg(1か月前の体重は29.5 kg)。入院時のバイタルサインは、体温36.9°C、脈拍100/分、血圧98/42 mmHg。随時血糖300 mg/dL、HbA1c 9.3 %、抗グルタミン酸デカルボキシラーゼ〈GAD〉抗体陽性。尿糖4+、尿ケトン体3+。血液ガス分析pH 7.02であった。 入院時に確認する症状はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・5番
解説
入院手続きの際に身体症状を確認することは、入院中の患者さんの状態変化を早期に把握し、適切な医療を提供するために非常に重要です。特に腹痛は緊急性を要する疾患を示唆する可能性があり、意識レベルは患者さんの全身状態を客観的に評価する上で不可欠です。これらを確認することで、入院直後からの医療的介入の必要性を判断し、リスクを低減できます。
選択肢ごとの解説
- 1. 咳は入院時の確認項目として重要ですが、選択肢2の腹痛や選択肢5の意識レベルに比べると、緊急性や全身状態の評価における優先度が低い場合が多いです。慢性的な咳の場合もあり、緊急性はケースバイケースです。正しくは:咳も確認すべき症状の一つですが、腹痛や意識レベルの評価の方がより重要である。選びやすい理由:咳は呼吸器系の異常を示す一般的な症状であり、感染症の可能性もあるため、確認すべき症状として選びやすいです。混同注意:一般的な症状としての咳と、緊急性を要する咳(喘鳴、血痰など)との区別。問題文には具体的な情報がなく、単なる咳と判断されるため緊急性は低い。
- 2. 正解。腹痛は急性虫垂炎、腸閉塞、腹膜炎などの緊急性の高い疾患を示唆する可能性があり、入院時に必ず確認すべき重要な身体症状です。入院中の治療方針や緊急処置の要否に関わります。選びやすい理由:腹痛は身近な症状であり、多くの人が経験するため、確認項目として自然に選びやすいです。また、消化器疾患の可能性を想起させるため、医療従事者としては確認すべきと考えやすいでしょう。混同注意:単なる一過性の腹部不快感と、医療的な介入を要する重篤な腹痛との区別。
- 3. むくみは心不全や腎不全など様々な病態でみられますが、入院手続きの時点での確認項目としては、選択肢2の腹痛や選択肢5の意識レベルに比べ、緊急性や全身状態の即時的評価における優先度は一般的に低いです。正しくは:むくみも確認すべき症状ですが、腹痛や意識レベルの評価の方がより重要である。選びやすい理由:むくみは全身の循環状態や臓器機能の異常を示すため、確認すべき重要な身体所見として選びやすいです。混同注意:全身性浮腫と局所性浮腫、緊急性の低い浮腫と、急速に進行するまたは重篤な状態を示す浮腫との区別。問題文からは緊急性が不明瞭。
- 4. 皮膚の発疹はアレルギー反応、感染症、自己免疫疾患など様々な原因で生じますが、入院手続きの時点での確認項目としては、選択肢2の腹痛や選択肢5の意識レベルに比べ、緊急性や全身状態の即時的評価における優先度は低いことが多いです。正しくは:皮膚の発疹も確認すべき症状ですが、腹痛や意識レベルの評価の方がより重要である。選びやすい理由:発疹は視覚的に分かりやすく、感染症の可能性もあるため、確認すべき症状として選びやすいです。混同注意:一時的な皮膚の変化と、全身状態に影響を及ぼす重篤な皮膚疾患または全身疾患の兆候としての発疹との区別。問題文からは緊急性が不明瞭。
- 5. 正解。A君は血糖300 mg/dL、尿ケトン体3+、pH 7.02と、糖尿病ケトアシドーシスの状態です。ケトアシドーシスでは意識障害をきたすことがあるため、入院時に意識レベルを確認します。選びやすい理由:意識レベルは患者の全身状態を把握する上で非常に重要であるため、医療従事者としては確認すべき症状として選びやすいです。JCSという具体的な評価スケールが提示されている点も、選択しやすい要因です。
国試ポイント
入院時の問診は、患者の現病歴や既往歴だけでなく、現在の身体症状を包括的に把握することが重要であることを理解する。特に、緊急性を要する症状や全身状態を評価する指標について正確に覚える。
混同注意
単なる患者の訴えと、医療的な介入が必要な徴候・症状との区別。例えば、日常的な不調と鑑別し、緊急性や重症度を判断するための症状の深掘り。
次に同じ論点が出たら
次回同様の問題が出た場合は、入院直後に医療者が介入すべき緊急性の高い症状や、患者の全身状態を客観的に評価できる指標が含まれている選択肢を優先的に選ぶ。
関連知識
問診の基本、フィジカルアセスメントの項目、緊急性を要する症状(意識障害、胸痛、呼吸困難、急性腹症など)とそれらに対する初期対応。