Aさん(80歳、男性)は、妻(80歳)と2人暮らし。血管性認知症でパーキンソニズムがみられる。認知症高齢者の日常生活自立度判定基準ランクIIb、要介護2。普段は妻がAさんの身の回りの世話をしているが、妻が入院したため短期入所療養介護のサービスを受けることになった。入所時のAさんは歩行開始困難、加速歩行、すくみ足などの歩行障害がみられた。Aさんは「最近、家の中でつまずくことが多くなりました」と入所中の施設の看護師に話した。 Aさんは「もっと歩けるようになりたい。妻の負担にならずに生活できるようになりたい」と話している。退所後にAさんが利用する介護給付におけるサービスで最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Aさんの「もっと歩けるようになりたい」という希望は、身体機能の回復・維持を目的としたリハビリテーションを必要とします。通所リハビリテーションは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの専門職が個別・集団でリハビリテーションを提供する介護サービスであり、Aさんのニーズに最も直接的に応えるものです。「妻の負担にならずに生活できるようになりたい」という言葉も、身体機能の改善が自立度を高め、結果的に家族の負担軽減につながることを示唆しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 訪問介護は主に身体介護や生活援助を提供しますが、Aさんの希望は「もっと歩けるようになりたい」という身体機能の回復・維持であり、これは訪問介護の主たる目的ではありません。正しくは:身体機能の回復・維持が主目的の場合は、リハビリテーション専門職によるサービスが適切です。選びやすい理由:在宅での生活を支援するという点では関連があるため、混同しやすいです。混同注意:身体介護とリハビリテーションの違い
- 2. 療養通所介護は、難病や認知症など重度な要介護状態の利用者に対し、医療的ケアと日常生活支援を組み合わせたサービスを提供します。Aさんの状態がそこまで重度であるとは示されていません。正しくは:療養通所介護は、より医療ニーズの高い利用者向けのサービスです。選びやすい理由:医療的ケアと介護が組み合わさっている点で、選択肢として考慮される可能性があります。混同注意:一般的な通所介護や通所リハビリテーションとの違い
- 3. 正解。Aさんは「もっと歩けるようになりたい」と身体機能の回復・維持を希望しており、これはリハビリテーション専門職による介入が不可欠です。通所リハビリテーションは、医療機関や介護老人保健施設などで日帰りでリハビリテーションを受けられるサービスであり、Aさんの要望に最も合致しています。
- 4. 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、認知症の診断を受けた高齢者が共同生活を送るための居住系サービスです。Aさんの発言からは認知症の有無は不明であり、主な希望は「歩けるようになりたい」という身体機能の回復であるため、このサービスは適切ではありません。正しくは:認知症と診断され、共同生活を通じて症状の緩和や生活機能の維持を目指す場合に利用されます。選びやすい理由:住み慣れた地域での生活支援という点では共通の理念がありますが、サービスの種類が異なります。混同注意:在宅サービスと施設サービス、またそのサービス内容の違い
国試ポイント
介護保険サービスの種類と、利用者のニーズに応じた適切なサービス選択能力が問われています。特に、身体機能の回復・維持を目的とする場合にどのサービスが適切かを理解しているかが重要です。
混同注意
訪問介護(身体介護)と通所リハビリテーション(機能訓練)の目的の違い、また療養通所介護のような特定の状態に特化したサービスとの区別。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず利用者の具体的な『希望』や『困りごと』に着目し、それが身体機能の回復・維持なのか、日常生活援助なのか、医療的ケアなのか、居住の場所なのかを明確に区分けして考えます。次に、そのニーズに最も直接的に対応する介護保険サービスを選択します。
関連知識
介護保険サービスの分類(居宅サービス、施設サービス、地域密着型サービス)、各サービスの対象者と提供内容、利用者の希望や状態に応じたケアプラン作成の考え方。