インシデントレポートで適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
インシデントレポートの最も重要な原則は、個人を罰するためのものではなく、システム全体のリスクを特定し、組織全体の安全性を向上させるためのツールであるという点です。これにより、医療従事者が安心して報告できる環境を確保し、情報収集を促進します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。インシデントレポートの主目的は、事故やインシデントの背景にあるシステム上の問題を特定し、再発防止策を講じることです。個人の責任追及を目的とすると、報告が滞り、真の問題解決に繋がりません。
- 2. インシデントレポートは、迅速な情報共有と対応のために、原則として速やかに提出されるべきです。発生から1か月後では遅すぎ、適切な対応が困難になります。正しくは:インシデント発生後は速やかに、あるいは定められた期間内に提出する必要があります。選びやすい理由:「月」という時間単位が、組織によっては定期的な集計期間と混同されやすいかもしれません。混同注意:定期的なリスクマネジメント委員会の報告時期や、詳細な調査報告書の提出時期と混同しやすいです。インシデントレポート自体は初期報告として迅速性が求められます。
- 3. インシデントレポートには、発生日時、場所、状況、患者への影響、その場で行われた初期対応など、事実の詳細な記述が不可欠です。再発防止策は重要な項目ですが、それ『だけ』に限定されるわけではありません。正しくは:レポートには、発生した事実の詳細(いつ、どこで、誰に、何が起こったか、初期対応など)と、それに加えて再発防止策も記述されます。選びやすい理由:再発防止がインシデントレポートの主要目的であるため、この選択肢が魅力的に見えるかもしれません。混同注意:目的(再発防止)と内容(事実の記載と再発防止策)の区別が曖昧になりやすいです。
- 4. 患者に実害がなかった「ヒヤリハット」事例も、将来の事故を未然に防ぐための重要な情報源です。報告することで潜在的なリスクを分析し、予防策を講じることができます。正しくは:実際に患者への影響がなかった、事前に察知されたヒヤリハット事例も積極的に報告する必要があります。選びやすい理由:「実施前に発見された」という部分で、未然に防げたのだから問題ない、と誤解する可能性があります。混同注意:「インシデント」(実際に発生した事象)と「ヒヤリハット」(事故には至らなかったが、一歩間違えば事故になっていた事象)の区別が曖昧になりやすいです。どちらも報告対象です。
国試ポイント
医療安全におけるインシデントレポートの目的と、その運用の基本原則を正しく理解しているかが問われています。特に「責任追及ではない」という点は頻出です。
混同注意
インシデントレポートと、懲戒処分、個人評価との関連性。また、実際に事故が発生した場合の医療事故調査制度との区別。インシデントレポートはあくまでも組織内のリスク管理ツールです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、インシデントレポートの「目的」がシステム改善と再発防止にあること、そして「個人を罰しない」という報告文化の重要性を確認しましょう。また、報告対象がヒヤリハットも含むかどうかも重要です。
関連知識
医療安全管理体制、リスクマネジメント、PDCAサイクル、ヒューマンエラー対策、患者安全文化。