4人部屋に入院中のAさん(外国籍)は3日後に手術予定である。Aさんは1日3回、決まった時間に毎日病室でお祈りをしている。看護師が訪室したところ、同室のBさんから「お祈りの声が気になってゆっくり休めない」と相談された。看護師の対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第115回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
Aさんの宗教的行為であるお祈りは、個人の尊厳に関わる重要な権利であり、医療者はこれを尊重する必要があります。一方で、Bさんの安寧な療養環境を維持することも重要です。そのため、Aさんの宗教的慣習を尊重しつつ、同室者であるBさんの療養環境に配慮するため、Aさんがお祈りを行える別の場所を準備することが、両者の権利を最大限尊重する適切な対応となります。
選択肢ごとの解説
- 1. Bさんに有料個室への転室を勧めることは、Bさんに経済的負担を強いることになり、またAさんの宗教的行為への配慮が不十分であるため不適切です。病院側の施設提供の義務を怠る対応となります。正しくは:Bさんに経済的負担をかけずに、Aさんのお祈りの場所を別に確保するなどの病院側の配慮を行う。選びやすい理由:一見すると、Bさんの訴えに直接対応し、問題解決の選択肢に見えるため。混同注意:患者の訴えへの安易な対応と、病院側の提供すべき支援の責任を混同しやすい。
- 2. Aさんにお祈りを手術当日に行うよう説明することは、Aさんの宗教的慣習を制限する行為であり、個人の尊厳を侵害する可能性があります。手術の有無に関わらず、宗教的行為は尊重されるべきです。正しくは:Aさんの宗教的行為を尊重し、継続してお祈りができる環境を整える。選びやすい理由:手術という重要なイベントを優先すべきと考えがちだが、宗教的ケアは日常生活の一部であり、患者の精神的安定に寄与するため。混同注意:医療行為の優先と、患者の精神的・宗教的ニーズの尊重を混同しやすい。
- 3. 同室者全員にアンケート調査を行うことは、Bさんの具体的な困りごとへの即時的な対応としては遠回りであり、問題解決に時間がかかりすぎます。また、アンケート結果が必ずしも解決策に直結するとは限りません。正しくは:Bさんの具体的な訴えに対し、Aさんの宗教的行為を尊重しつつ、具体的な解決策を検討する。選びやすい理由:公平な意見収集の姿勢を示せるように見えるため。混同注意:問題解決のための客観的な情報収集と、目の前の具体的なトラブルへの迅速な個別対応を混同しやすい。
- 4. 正解。Aさんの宗教的慣習を尊重しつつ、同室のBさんの療養環境を保護するためには、Aさんが病室とは別にお祈りできる場所を確保することが最も適切です。これにより、両者の権利とニーズを両立させることができます。選びやすい理由:Aさんの権利とBさんの療養環境の両方を考慮できるため。
国試ポイント
患者の権利の尊重、多文化理解、個別性への対応、療養環境の調整能力が問われる。特に、宗教的慣習への配慮と他患者への影響のバランスをどのように取るかが重要である。
混同注意
宗教的慣習の尊重と、他患者の快適性の確保をどちらか一方のみを優先することと混同しやすい。両立を図る視点が重要。
次に同じ論点が出たら
同様の患者間トラブルが生じた場合、まず患者の背景(宗教、文化、生活習慣)を理解し、その上で当事者双方の意見を傾聴し、解決策が両者のニーズと権利を最大限尊重するものかを判断する。
関連知識
患者の権利章典、インフォームド・コンセント、倫理原則(自律尊重、善行、無害)、多文化共生、宗教的ケア。