健常な成人において、血液中のグルコース濃度が低下した時に、グルカゴンの働きでグリコゲンを分解してグルコースを生成し、血液中に放出するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
健康な成人において、血液中のグルコース濃度が低下すると、膵臓のランゲルハンス島α細胞からグルカゴンが分泌されます。このグルカゴンは主に肝臓に作用し、肝臓に貯蔵されているグリコーゲンを分解(グリコーゲン分解)することでグルコースを生成します。その後、肝臓はそのグルコースを血液中に放出し、血糖値を上昇させることで恒常性を維持します。骨格筋もグリコーゲンを貯蔵しますが、そのグリコーゲンは筋肉自身のエネルギーとしてのみ利用され、血液中には放出されません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。肝臓はグリコーゲンを貯蔵し、血糖値が低下した際にグルカゴンによってグリコーゲン分解(グリコーゲン分解)を促進し、グルコースを血液中に放出することで血糖値を維持する重要な役割を担っています。選びやすい理由:他の臓器もグルコース代謝に関わりますが、血液中にグルコースを放出して血糖値を調整する機能は肝臓が主導的です。混同注意:肝臓と骨格筋の両方がグリコーゲンを貯蔵しますが、骨格筋のグリコーゲンは筋肉自身のエネルギー源としてのみ利用され、直接血液中にグルコースを放出することはありません。
- 2. 骨格筋はグリコーゲンを貯蔵しますが、そのグリコーゲンは筋肉自体のエネルギー源としてのみ利用されます。グリコーゲンをグルコースに分解しても、グルコースを血液中に直接放出する酵素(グルコース-6-ホスファターゼ)を持たないため、血糖値の維持には関与しません。正しくは:骨格筋はグリコーゲンを貯蔵し、運動時のエネルギーとして利用します。選びやすい理由:骨格筋もグリコーゲンを貯蔵するため、肝臓と混同しやすいです。混同注意:肝臓のグリコーゲンは全身で利用されますが、骨格筋のグリコーゲンは筋肉内でのみ利用されるという違いを理解することが重要です。
- 3. 脂肪組織は主に中性脂肪を貯蔵し、エネルギー源として利用しますが、グルカゴンが直接作用してグリコーゲンを分解し、グルコースを血液中に放出する機能はありません。グルカゴンは脂肪分解を促進する作用はありますが、これはグリコーゲン分解とは異なります。正しくは:脂肪組織は主に中性脂肪を貯蔵し、分解により脂肪酸やグリセロールを供給します。選びやすい理由:脂肪組織もエネルギー貯蔵に関わるため、代謝の一端として考える人がいるかもしれません。混同注意:脂肪組織はグルコースの取り込みや脂肪への変換には関わりますが、グリコーゲン分解による血糖放出は行いません。
- 4. 心臓は絶えず拍動するために多くのエネルギーを必要とし、脂肪酸やグルコース、乳酸などを利用しますが、血液中のグルコース濃度を調節するためにグリコーゲンを分解してグルコースを放出する機能はありません。正しくは:心臓は自己の活動に必要なエネルギー源としてグルコースや脂肪酸を利用します。選びやすい理由:心臓もエネルギーを多く消費するため、代謝に関与すると思われがちです。混同注意:心臓は循環器系の中心ですが、血糖調節の主要な役割は持っていません。
- 5. 膵臓は血糖値を調節するホルモン(インスリンやグルカゴン)を分泌する臓器ですが、グルカゴンの働きによってグリコーゲンを分解し、グルコースを血液中に放出する「標的臓器」ではありません。膵臓自体が血糖調節の指令を出す臓器であり、実際にグルコースを放出する役割は肝臓にあります。正しくは:膵臓はインスリンやグルカゴンといった血糖調節ホルモンを分泌します。選びやすい理由:膵臓はグルカゴンを分泌する臓器であるため、混同しやすいです。混同注意:グルカゴンを「分泌する」臓器(膵臓)と、グルカゴンの作用を受けて「グルコースを放出する」臓器(肝臓)の違いを明確に理解することが重要です。
国試ポイント
血糖調節における主要臓器(肝臓、膵臓)の役割と、各臓器のグルコース代謝における機能の違いを正確に理解しているかが問われています。特に、肝臓と骨格筋におけるグリコーゲン代謝の違いは頻出ポイントです。
混同注意
膵臓(グルカゴンを分泌)と肝臓(グルカゴンの標的でグルコースを放出)、骨格筋(グリコーゲンを貯蔵するが血液中には放出しない)のそれぞれの役割が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題では、高血糖時のインスリンの作用、あるいは特定の疾患(糖尿病など)における血糖調節異常に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
血糖調節ホルモン(インスリン、グルカゴン、アドレナリン、コルチゾールなど)の作用機序、糖新生、グリコーゲン合成・分解、グルコース-6-ホスファターゼの役割について理解を深めることが重要です。