採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
クエン酸はカルシウムイオンをキレート(捕捉)する作用があります。血液凝固は多くの凝固因子が段階的に活性化されるカスケード反応であり、その過程の多くの段階でカルシウムイオンが補因子として不可欠です。したがって、クエン酸がカルシウムイオンを除去することで、血液凝固反応が進行できなくなり、血液の凝固が防がれます。
選択肢ごとの解説
- 1. トロンビンは血液凝固の過程で生成される酵素であり、クエン酸が直接除去するものではありません。クエン酸はトロンビンの生成に必要なカルシウムイオンを捕捉することで間接的に凝固を阻害します。正しくは:トロンビンの生成に必要なカルシウムイオンを捕捉する。選びやすい理由:トロンビンは凝固に関わるため、関係があるように思える。混同注意:クエン酸が凝固因子そのものを不活化すると誤解する。
- 2. プラスミンはフィブリン溶解系(線溶系)の主要な酵素であり、血液凝固を促進するのではなく、すでに形成された血栓を溶解する役割を担います。クエン酸の作用とは関係ありません。正しくは:プラスミンは線溶系の酵素であり、血液凝固を抑制するクエン酸の作用機序とは異なる。選びやすい理由:凝固・線溶という血液の機能に関わる酵素なので、選択肢として考慮してしまう。混同注意:血液凝固・線溶系の全体像を混同している。
- 3. 正解。クエン酸はカルシウムイオンをキレート(捕捉)する作用があります。カルシウムイオンは血液凝固反応において多くの段階で不可欠な補因子であるため、これを結合除去することで血液凝固を効果的に抑制します。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:他の凝固因子と混同する可能性。混同注意:カルシウムイオンが凝固に必須であることを知らない。
- 4. ナトリウムイオンは生体内の電解質として重要な役割を果たしますが、血液凝固の主要な過程には直接関与しません。クエン酸がナトリウムイオンを特異的に除去することはありません。正しくは:ナトリウムイオンは血液凝固に直接関与しない。選びやすい理由:イオンであるため、カルシウムイオンと混同してしまう。混同注意:体液中の主要なイオンの役割を混同している。
- 5. フィブリノーゲンは血液凝固の最終段階でフィブリンに変換されるタンパク質ですが、クエン酸が直接フィブリノーゲンを除去するわけではありません。クエン酸はフィブリノーゲンがフィブリンに変わる前の段階で凝固を阻害します。正しくは:クエン酸はフィブリノーゲンの機能自体を阻害するのではなく、その活性化に必要なカルシウムイオンを捕捉する。選びやすい理由:フィブリノーゲンが凝固因子であるため、クエン酸の標的だと誤解する。混同注意:クエン酸の作用機序が、凝固因子の不活化であると誤解している。
国試ポイント
血液凝固の機序と、クエン酸ナトリウムなどの抗凝固薬の作用機序(特にカルシウムイオンのキレート作用)を理解しているかが問われる。血液検査における検体の取り扱いに関する基礎知識も重要となる。
混同注意
血液凝固に関わる多くの因子(トロンビン、フィブリノーゲンなど)との混同。クエン酸が特定の凝固因子を不活化すると誤解する。
次に同じ論点が出たら
他の抗凝固剤(ヘパリン、EDTAなど)がどのような機序で血液凝固を阻害するのかを説明できるか。また、それらがどのような目的の検査に用いられるかを理解しているか。
関連知識
血液凝固カスケード、血小板の機能、ビタミンK依存性凝固因子、ヘパリンの作用機序、EDTAの作用機序。