Aさん(70歳、男性)。妻(74歳)と2人で暮らしている。Aさんがトイレに入ったまま戻ってこないので妻が見に行くと、トイレで倒れていた。妻が発見直後に救急車を要請した。救急隊からの情報ではジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉II- 20で右片麻痺があり、バイタルサインは、体温36.5°C、呼吸数16/分、脈拍108/分、血圧200/120 mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96 %であった。 救命救急センター到着時に観察する項目で最も優先するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
救命救急センターに搬送された患者の初期評価では、生命の危機に直結する状態を速やかに特定し、介入することが求められます。意識レベルの評価は、患者の脳機能状態を把握し、気道開通の維持能力や呼吸・循環の状態に大きな影響を与えるため、ABCD(Airway, Breathing, Circulation, Disability)アプローチの'D'(Disability: 意識)として、極めて高い優先順位で実施されます。意識障害がある場合、気道閉塞や呼吸抑制のリスクが上昇するため、他のバイタルサイン測定よりも先行して評価されるべき項目です。
選択肢ごとの解説
- 1. 体温測定も重要ですが、意識レベルの評価よりも優先度は低いです。重症患者の場合、意識状態の異常は生命に直結する脳機能障害を示すため、より緊急性が高いです。正しくは:意識レベルの評価後に、バイタルサインの一つとして測定されます。選びやすい理由:バイタルサインの一つとして重要であるため、選びやすいかもしれません。混同注意:他のバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2など)と混同して、全てのバイタルサインが同等に優先されると考えてしまうことがあります。
- 2. 心電図波形は心臓の状態を把握する上で非常に重要ですが、救急現場での初期評価においては、まず意識レベルや気道・呼吸・循環の安定が最優先されます。意識レベルの低下は、呼吸や循環にも影響を及ぼす可能性があります。正しくは:意識レベルの評価やABCアセスメントの後、必要に応じてモニタリングが開始されます。選びやすい理由:心臓の異常は生命に直結するため、重要性が高く感じられるかもしれません。混同注意:心停止などの緊急性の高い状態と混同し、心電図が直ちに必要と考えることがあります。
- 3. 正解。救急現場における初期評価では、ABC(Airway: 気道、Breathing: 呼吸、Circulation: 循環)が最優先されます。意識レベルは、脳の機能状態を反映し、気道開通の維持能力や呼吸状態に直接影響を与えるため、最も重要な初期評価項目の一つです。意識障害がある場合、気道閉塞や呼吸停止のリスクが高まります。選びやすい理由:AHAのBLS/ACLSガイドラインなどでも初期評価の重要性が強調されており、基本的な知識として理解していれば迷わず選択できます。混同注意:他のバイタルサイン(血圧、脈拍など)とどちらが優先か迷うことがありますが、意識レベルは気道確保や呼吸管理に直結するため、より初期に評価されるべきです。
- 4. 尿失禁の有無は、てんかん発作の有無や意識障害の原因を推測する上で参考になることがありますが、生命維持に直結する項目ではないため、初期の優先順位は低いです。意識レベルなどの生命に関わる評価が安定した後に行われるべきです。正しくは:意識レベルの評価やバイタルサインの確認、全身状態の把握が終わった後に、必要に応じて確認される情報です。選びやすい理由:意識障害の原因を探る情報として、重要に感じられるかもしれませんが、初期評価のプライオリティとは異なります。混同注意:意識障害の鑑別診断に必要な情報の一つとして、初期に確認すべきと誤解することがあります。
国試ポイント
救急時の患者アセスメントにおける優先順位(特にABCDアプローチ)について問う問題です。生命維持に直結する項目を正確に把握しているかが評価されます。
混同注意
バイタルサインの重要性は理解していても、初期評価における各項目の優先順位を正確に把握できていないと、体温や心電図など他の重要な情報と混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が問われた場合、常に『生命維持に最も直結する初期評価項目』、特に『気道・呼吸・循環・意識』の優先順位を念頭に置いて判断する。
関連知識
救急看護におけるプライマリーアセスメント(ABCDEアプローチ)、Glasgow Coma Scale(GCS)などの意識レベル評価スケール、バイタルサインの正常値と異常値、急変時対応プロトコル。