精神病床に入院し、身体的拘束が必要となる攻撃性の高い精神疾患患者のケアで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
精神科病棟に入院中の攻撃性が強い患者において、身体拘束が必要な状況に至る背景には、過去の心的外傷体験が影響している可能性が指摘されています。攻撃的な行動は、トラウマ反応やフラッシュバックに対する自己防衛機制として現れることがあるため、安易に攻撃性を非難するのではなく、その背景に配慮した援助が求められます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。攻撃性が強い患者は、過去に心的外傷体験を持つことが多く、その体験が現在の行動に影響を与えている可能性があります。そのため、患者の行動の背景にあるトラウマを考慮し、安全基地としての病棟環境と、共感的な態度でケアを提供することが重要です。選びやすい理由:患者の行動を単なる問題行動として捉えるのではなく、その背景にある精神病理や心理的要因に焦点を当てるという、精神科看護の基本原則に基づいているため。混同注意:攻撃的な行動に対する直接的な行動制限や治療的介入のみで、心理的な背景を考慮しないケア。
- 2. 患者さんが暴力的な行動を起こした直後に積極的に反省を促すことは、患者を追い詰め、かえって攻撃性を増強させる可能性があります。患者の興奮状態が強い場合は、まず安全の確保と沈静化を図ることが優先されます。反省を促すタイミングは、患者が落ち着きを取り戻し、冷静に状況を振り返られる状態になってから慎重に行うべきです。正しくは:患者の安全を確保し、興奮が落ち着いてから、行動の振り返りを支援する。選びやすい理由:問題行動に対して反省を促すことが、一般的な社会規範としては正しいと認識されがちであるため。混同注意:治療関係の構築と、患者教育のタイミングの判断。
- 3. 患者さんの攻撃性が治まるまで病気や治療について教えることを控えるのは必ずしも適切ではありません。興奮状態が強い時に詳細な説明は困難ですが、患者が少しでも落ち着いていれば、現在の状況や治療の必要性について、患者の理解度に合わせて簡潔に説明することで、不安の軽減や治療への協力が得られることがあります。情報は、患者の権利として適切なタイミングで提供されるべきです。正しくは:患者の攻撃性が強い状況でも、患者の状況を考慮し、可能な範囲で病気や治療について簡潔に情報提供を行う。選びやすい理由:興奮している患者には情報が伝わりにくい、あるいは刺激になるかもしれないという懸念から、説明を控えることが配慮と誤解されやすいため。混同注意:患者の精神状態に応じた情報提供のタイミングと方法。
- 4. 患者さんの身体的抑制が解除されてから病棟の予定を説明するという対応は適切ではありません。身体抑制中であっても、患者は環境からの情報を必要としており、現在の状況や今後の見通しが分からないことで、不安や混乱が増強する可能性があります。抑制中であっても、患者の状況に応じ、病棟の予定や治療に関する情報を簡潔に伝えることで、安心感を与え、コントロール感をある程度保持できるように支援することが重要です。正しくは:患者の身体的な抑制中であっても、状況を考慮し、可能な範囲で病棟の予定や治療に関する情報を提供する。選びやすい理由:抑制が解除されてからの方が患者が冷静に話を聞ける、あるいは情報を提供することが抑制の理由や状況を刺激するかもしれないという考えから。混同注意:身体拘束中の患者へのコミュニケーションの原則と、患者の権利擁護。
国試ポイント
精神科看護における身体拘束下の患者への個別性のあるケア、特にトラウマインフォームドケアの重要性。
混同注意
攻撃性への対処と、その背景にある心理的要因への配慮の区別。
次に同じ論点が出たら
精神科患者の行動の背景にある心理的・精神病理学的要因を考慮した個別的なケアが問われているか、特に身体拘束下や危機的状況におけるケアの原則に合致しているか。
関連知識
トラウマインフォームドケアの原則、身体拘束下にある患者の権利擁護、危機介入とデエスカレーションの技術。