ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に感染している患者で、後天性免疫不全症候群〈AIDS〉の状態にあると判断できる疾患はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
HIV感染者が後天性免疫不全症候群(AIDS)と診断されるのは、免疫不全によって通常では発症しないような特定の疾患(日和見感染症や悪性腫瘍など)を発症した場合です。ニューモシスチス肺炎は、その代表的な指標疾患の一つであり、CD4陽性Tリンパ球数の減少と合わせてAIDSの診断基準となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 季節性インフルエンザは一般人口にも広く見られる疾患であり、HIV感染者において免疫力の低下を示す指標としては通常用いられません。特に、AIDSの診断基準となる日和見感染症には含まれません。正しくは:AIDS指標疾患は、免疫不全状態でのみ発症しやすい特定の重篤な感染症や悪性腫瘍です。選びやすい理由:ウイルス感染症であるため、HIVとの関連性を安易に考えてしまうかもしれません。混同注意:一般的なウイルス感染症と、HIVによる重篤な免疫不全を示す特定の感染症を混同しやすいです。
- 2. 正解。ニューモシスチス肺炎は、健常者では発症しにくいですが、免疫力が著しく低下した際に発症する日和見感染症です。HIV感染者においてCD4陽性Tリンパ球数が一定以下に減少し、この肺炎を発症した場合、AIDSと診断される指標疾患の一つです。
- 3. ノロウイルス性腸炎は、免疫状態に関わらず誰でも感染し得る消化器疾患であり、HIV感染者特有の重篤な免疫不全を示す疾患ではありません。AIDSの診断基準となる指標疾患には含まれません。正しくは:AIDS指標疾患は、免疫不全状態でのみ発症しやすい特定の重篤な感染症や悪性腫瘍です。選びやすい理由:一般的な感染症であるため、免疫力が低下していれば何らかの感染症にかかりやすいという漠然とした知識から選んでしまうかもしれません。混同注意:一般的な感染性胃腸炎と、AIDS指標疾患としての特定の消化器感染症(例:クリプトスポリジウム症による慢性腸炎)を混同しやすいです。
- 4. 単純性膀胱炎は、主に女性に多く見られる一般的な細菌感染症であり、免疫状態が著しく低下していることを示す疾患ではありません。HIV感染者においても特別な位置づけはなく、AIDSの診断基準には含まれません。正しくは:AIDS指標疾患は、免疫不全状態でのみ発症しやすい特定の重篤な感染症や悪性腫瘍です。選びやすい理由:細菌感染症であるため、免疫力が低いとかかりやすいと考えてしまうかもしれません。混同注意:一般的な細菌感染症と、HIVによる重篤な免疫不全を示す特定の細菌感染症(例:播種性非結核性抗酸菌症)を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、HIV感染とAIDSの違い、およびAIDSの診断基準となる代表的な指標疾患に関する知識を問うものです。特に、免疫不全状態でのみ発症する日和見感染症の具体例を正確に理解しているかが鍵となります。
混同注意
HIV感染は、ウイルスに感染している状態を指し、自覚症状がないこともあります。一方、AIDSはHIV感染が進行し、免疫不全により特定の指標疾患を発症した状態を指します。両者の違いを混同しないことが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同じ論点が出た場合は、他の代表的なAIDS指標疾患(特に日和見感染症や悪性腫瘍)の種類と、それぞれの特徴、およびCD4陽性Tリンパ球数とAIDS診断の関係について問われる可能性があります。
関連知識
AIDS指標疾患には、ニューモシスチス肺炎の他に、サイトメガロウイルス網膜炎、カポジ肉腫、悪性リンパ腫、PML(進行性多巣性白質脳症)、HIV脳症、クリプトコッカス症、カンジダ食道炎などが含まれます。また、CD4陽性Tリンパ球数が200/µL未満に低下することもAIDSの診断基準の一つです。