腹部CT(別冊No. 2)を別に示す。矢印で示す部位について正しいのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第106回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
画像は腹部CTの横断像であり、矢印は皮下脂肪を指し示しています。皮下脂肪が厚い場合、身体の脂肪分布は「洋梨型肥満」を示すことが多いです。洋梨型肥満は、脂肪が主に臀部や大腿部に蓄積するタイプで、内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)とは異なります。
選択肢ごとの解説
- 1. 矢印が指し示す部位は皮下脂肪であり、脂肪組織は主に脂肪細胞で構成されています。肥満細胞は免疫反応に関与する細胞であり、脂肪組織を「肥満細胞のみ」で構成されていると表現するのは誤りです。正しくは:これは主に脂肪細胞で構成されています。選びやすい理由:「肥満」という言葉から「肥満細胞」を連想しやすいため、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:脂肪細胞と肥満細胞の混同。
- 2. BMI(Body Mass Index)は体重と身長から計算される指標(体重(kg) ÷ 身長(m)²)であり、皮下脂肪の厚さはBMIの計算に直接利用されません。皮下脂肪の厚さは肥満のタイプや脂肪分布の評価に用いられます。正しくは:その厚さは脂肪分布や肥満のタイプ評価に利用されますが、BMIの計算には直接利用されません。選びやすい理由:皮下脂肪の厚さが肥満度と関連することから、BMIの計算に利用されると誤解しやすい可能性があります。混同注意:皮下脂肪の厚さとBMIが肥満の指標として混同されることがあります。
- 3. 正解。矢印が指し示すのは皮下脂肪であり、皮下脂肪が厚い、特に下半身に脂肪が多く蓄積するタイプは洋梨型肥満と呼ばれます。本画像は腹部の横断像ですが、腹部の皮下脂肪が厚いことは洋梨型肥満の一側面を示しています。よって、この記述は適切です。選びやすい理由:内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)との区別を理解しているか問う良質な選択肢です。
- 4. メタボリックシンドロームの診断基準には、内臓脂肪の蓄積が深く関与していますが、皮下脂肪の厚さは直接的な診断基準ではありません。皮下脂肪型肥満(洋梨型肥満)は、内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)に比べてメタボリックシンドロームのリスクが低いとされています。正しくは:内臓脂肪が厚い場合、メタボリックシンドロームのリスクが高まります。選びやすい理由:「肥満」と「メタボリックシンドローム」が強く関連することから、皮下脂肪の厚さも診断基準になると誤解しやすい可能性があります。混同注意:皮下脂肪と内臓脂肪による肥満タイプの違い、およびメタボリックシンドロームの診断基準。
国試ポイント
腹部CT画像から、皮下脂肪の解剖学的知識と、その厚さが体型(脂肪分布)に与える影響、および関連する疾患(メタボリックシンドロームなど)との関連性を理解しているかを問う問題です。特に、皮下脂肪と内臓脂肪の区別と、それぞれの肥満型が持つ健康上のリスクの違いを把握していることが重要です。
混同注意
皮下脂肪と内臓脂肪の区別、およびそれぞれの肥満タイプ(洋梨型、リンゴ型)とメタボリックシンドロームとの関連性について混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合は、まずCT画像で矢印が指し示す部位が皮下脂肪(腹壁内側と腸管の間ではない)であることを確認し、それが内臓脂肪ではないことを認識した上で、各選択肢が皮下脂肪の特性やそれが示唆する体型、関連疾患について正しく記述しているか判断します。
関連知識
肥満はその脂肪分布により、大きく「内臓脂肪型肥満(リンゴ型肥満)」と「皮下脂肪型肥満(洋梨型肥満)」に分類されます。内臓脂肪型肥満は、腹腔内臓器の周囲に脂肪が蓄積するタイプで、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高く、メタボリックシンドロームと密接に関連します。一方、皮下脂肪型肥満は、皮下組織に脂肪が蓄積するタイプで、内臓脂肪型肥満と比較して生活習慣病のリスクは低いとされています。しかし、皮下脂肪の過剰な蓄積も、膝関節への負担増や美容上の問題など、様々な影響を及ぼします。CT画像では、腹壁と腹腔内の脂肪組織を明確に区別して評価することが可能です。