Aさん(63歳、男性)は妻と2人暮らしで、肺癌の終末期で在宅医療を受けて医療用麻薬を使用中である。看護師が訪問したとき、Aさんは椅子に座って咳をしながら苦痛に耐えている様子であった。妻は「レスキュー薬が効くまでは苦しそうなので、何か私にできることはありますか」と訪問看護師に尋ねた。このときの訪問看護師の妻への対応で適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第112回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
肺癌終末期の患者が苦痛を訴えている場合、非薬物的な介入はレスキュー薬の効果発現までの時間や薬物だけでは完全にコントロールできない苦痛に対して有効です。背中をさすることで身体的接触による安心感を与え、妻が傍にいることで精神的な支えとなり、不安を軽減し呼吸を楽にする可能性があります。これは全人的ケアの一環として重要です
選択肢ごとの解説
- 1. Aさんは医療用麻薬を使用しており、在宅医療を受けている状況から、普段から医療者が介入していると推測されます。レスキュー薬が効き始めるまでのつらさであり、直ちに生命に関わる緊急事態とは判断しにくく、すぐに救急車を要請する段階ではありません。正しくは:緊急性が低いと考えられるため、まずは訪問看護師が状況をアセスメントし、適切な非薬物的介入を試み、必要に応じて主治医に連絡する。選びやすい理由:患者が苦しんでいると、つい緊急対応を考えてしまうため。混同注意:緊急性の高い病態悪化と、終末期の予測される苦痛の区別。
- 2. 仰臥位は肺癌終末期患者にとって、呼吸困難を悪化させる可能性があります。特に咳をしている状況では、苦痛を増大させるリスクがあります。一般的に、呼吸困難時はセミファウラー位や座位など、呼吸しやすい体位が推奨されます。正しくは:呼吸しやすい体位(例:セミファウラー位、上体を起こした座位)への介助方法を指導する。選びやすい理由:安楽な体位にすれば楽になるという一般的な考えがあるため。混同注意:一般的な安静時の体位と、呼吸困難時の体位の選択。
- 3. 正解。患者の背中をさすることは、身体的接触を通じて安心感を与え、疼痛や呼吸困難の緩和に繋がることがあります。また、妻が傍にいることは精神的な支えとなり、不安の軽減に寄与します。これはレスキュー薬の効果発現を待つ間の非薬物的緩和ケアとして適切です。選びやすい理由:非薬物的な介入として、すぐに実践でき、患者にとって心地よい可能性があるため。混同注意:薬物療法のみが苦痛緩和の手段であるという誤解。
- 4. 医療用麻薬のレスキュー薬は、医師の指示に基づいた適切な用量で使用されるべきです。指示された用量を超えて一度に2倍量を服用することは、過鎮静や呼吸抑制などの重篤な副作用のリスクを高めるため、非常に危険です。正しくは:医師の指示通りのレスキュー薬の服用方法を改めて説明し、効果が見られない場合は医師に連絡するよう指導する。選びやすい理由:早く苦痛を取り除きたいという気持ちから、薬の増量を考えてしまうため。混同注意:効果不十分時の薬物調整は医療者の判断で行うべきことと、自己判断での増量。
国試ポイント
終末期医療における苦痛緩和ケア(薬物的介入と非薬物的介入の組み合わせ)と、患者家族への支援の重要性。
混同注意
緊急時の対応と、非緊急ながらも苦痛を伴う状況でのケアの区別。特に終末期医療における「苦痛」の定義と、その緩和策の範囲。
次に同じ論点が出たら
終末期患者の苦痛緩和に関する問題では、まず緊急性があるか否かを確認し、その上で薬物療法(レスキュー薬の適切な使用を含む)と非薬物療法(身体的・精神的サポート)の両面から最も適切かつ安全な介入を選択する。
関連知識
終末期がん患者の苦痛の種類(身体的、精神的、社会的、スピリチュアル)と、それぞれの苦痛に対する緩和ケアの方法。オピオイドによる疼痛管理の原則と、レスキュー薬の意義。家族ケアの重要性。