心静止の患者に投与する薬剤はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
心静止状態の患者に対する救命処置において、アドレナリンは血管収縮作用と心筋刺激作用により、心臓と脳への血流を確保し、自己心拍再開の可能性を高めるため、蘇生ガイドラインで初期投与薬として強く推奨されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 心静止の初期対応薬ではありません。ドパミンは主に、心原性ショックや重度の低血圧状態にある患者の血圧維持を目的とした昇圧剤として使用されます。正しくは:心静止ではなく、循環不全による血圧維持が必要な場合に考慮される薬剤です。選びやすい理由:血圧を上昇させる作用があるため、心臓が止まった状態でも循環を改善する目的で使われると誤解しやすいかもしれません。混同注意:アドレナリンも昇圧作用を持ちますが、心静止における第一選択薬としての役割が異なります。
- 2. アトロピンは、重度の徐脈性不整脈(洞性徐脈や房室ブロックなど)の治療に用いられる抗コリン薬であり、心臓が完全に停止した心静止状態には効果が期待できません。正しくは:心静止ではなく、徐脈によって循環が不安定な場合に投与され、心拍数の増加を図ります。選びやすい理由:徐脈を改善することで心拍を増加させるため、心停止寸前の状態に有効だと誤解するかもしれません。混同注意:重度の徐脈と心静止(アシストール)は病態が異なり、アトロピンの適応も明確に異なります。
- 3. リドカインは、心室性不整脈(心室頻拍や心室細動など)の治療薬であり、心臓が完全に停止している心静止に直接的な効果はありません。正しくは:心静止ではなく、致死性心室性不整脈の治療や再発予防に用いられる薬剤です。選びやすい理由:不整脈を抑制する薬として、心臓の電気的な異常を止めるために使うと関連付けて誤解するかもしれません。混同注意:心室細動に対する除細動後の再発予防や、難治性心室細動に用いられることがあるため、心静止と混同しやすいですが、適応は異なります。
- 4. 正解。アドレナリンは、心静止を含むあらゆる心停止の病態(アシストール、無脈性電気活動、心室細動、無脈性心室頻拍)において、心筋の収縮力と拍動数を高め、冠血流量や脳血流量を増加させ、末梢血管を収縮させて血圧を維持するために投与される最も重要な薬剤です。蘇生ガイドラインで第一選択薬として推奨されています。
国試ポイント
心停止時の薬剤選択は、看護師として緊急時に適切な判断ができるかを問う重要なポイントです。特にアドレナリンの心静止を含む心停止における第一選択薬としての位置づけは頻出です。各薬剤の適応と作用機序を理解しているかが問われます。
混同注意
アドレナリンとドパミンの昇圧作用、アトロピンの徐脈に対する効果と心静止への無効性、リドカインの不整脈治療と心静止への不適応が混同されやすいです。心停止の具体的な病態(心室細動、心静止、無脈性電気活動など)と、それぞれの薬剤の適応を正確に区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、まず心停止の具体的な病態(心静止、心室細動、無脈性電気活動など)を正確に把握し、それぞれの病態に対する蘇生ガイドラインで推奨される第一選択薬は何か、という視点で選択肢を検討します。また、ショックや重症不整脈など、心停止に至る前の状態に対する薬剤との区別も重要です。
関連知識
成人に対する心肺蘇生法(BLS、ALS)のアルゴリズム、特に薬剤投与のタイミングと用量(アドレナリンの推奨量)、電気的除細動の適応、アミオダロンや炭酸水素ナトリウムなどの他の心停止時薬剤とその適応について学習することが推奨されます。