Aさん(35歳、女性)は1年前に子宮体癌のために単純子宮全摘出術と両側卵巣摘出術を受け、その後、ホルモン補充療法は受けずに健康に過ごしている。Aさんの血液中で術前よりも濃度が上昇しているホルモンはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第114回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
両側卵巣摘出術により、卵巣から分泌されるエストロゲンやプロゲステロンが著しく減少します。これにより、視床下部-下垂体-卵巣系の負のフィードバックが解除され、脳下垂体からの卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)の分泌が亢進します。その結果、これらのホルモンの血中濃度は術前よりも上昇します。
選択肢ごとの解説
- 1. 女性のテストステロンは副腎や卵巣から微量分泌されますが、卵巣摘出によってその分泌は減少するか、大きく変わることはありません。術前より増加することは通常考えられません。正しくは:テストステロンの濃度は変化しないか、わずかに減少する。選びやすい理由:ホルモン関連の変化なので、一見関連性がありそうに見えるかもしれない。混同注意:性ホルモン全般が減少すると誤解し、テストステロンもその一つと考える可能性がある。
- 2. プロゲステロンは主に卵巣の黄体から分泌されるホルモンです。両側卵巣摘出術により黄体がなくなるため、術後はプロゲステロンの分泌はほぼなくなります。したがって、術前よりも濃度が上昇することはありません。正しくは:プロゲステロンの濃度は術後著しく低下する。選びやすい理由:女性ホルモンの一つであり、子宮や卵巣に関連するため、変化があると考える可能性がある。混同注意:性ホルモン全般が上昇すると誤解したり、ホルモンバランスの変化を混同したりする。
- 3. エストラジオールは主に卵巣から分泌される女性ホルモンです。両側卵巣摘出術により卵巣がなくなるため、術後はエストラジオールの分泌は著しく低下します。したがって、術前よりも濃度が上昇することはありません。正しくは:エストラジオールの濃度は術後著しく低下する。選びやすい理由:女性ホルモンの主要なものであるため、変化すると考えるが、その方向性を誤る可能性がある。混同注意:他の性ホルモンとの関連性を誤解し、ホルモン補充療法を受けていないため、代償的に増えると思い込む可能性がある。
- 4. 正解。黄体形成ホルモン(LH)は脳下垂体から分泌され、卵巣の機能を刺激するホルモンです。両側卵巣摘出術により卵巣がなくなると、エストロゲンなどの卵巣ホルモンが分泌されなくなり、負のフィードバック機構が解除されます。これにより、脳下垂体からのLH分泌は亢進し、血液中の濃度は術前よりも上昇します。
- 5. 正解。卵胞刺激ホルモン(FSH)は脳下垂体から分泌され、卵巣の機能を刺激するホルモンです。両側卵巣摘出術により卵巣がなくなると、エストロゲンなどの卵巣ホルモンが分泌されなくなり、負のフィードバック機構が解除されます。これにより、脳下垂体からのFSH分泌は亢進し、血液中の濃度は術前よりも上昇します。
国試ポイント
女性の生殖内分泌系のフィードバック機構と、卵巣摘出後のホルモン動態の理解が問われる。特に脳下垂体から分泌されるFSHとLHの役割、および卵巣ホルモンとの相互作用が重要。
混同注意
エストロゲンやプロゲステロンが減少することと、それらの減少によって下垂体ホルモンが増加することを混同しやすい。ホルモン補充療法を受けていないという条件も重要。
次に同じ論点が出たら
この患者が更年期症状を呈した場合の看護介入、ホルモン補充療法開始の有無による影響。
関連知識
更年期障害のメカニズム(エストロゲン分泌低下によるFSH・LH上昇)、性周期のホルモン変動、視床下部-下垂体-卵巣軸。