終末期がん患者にみられる悪液質の徴候はどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第109回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4・5番
解説
悪液質は、がんや他の慢性疾患に起因する複雑な代謝異常症候群であり、炎症反応、タンパク質分解亢進、脂肪分解亢進などにより、意図しない体重減少(特に筋肉量減少)と食欲不振が主要な特徴として現れます。これらの症状は、患者のQOLを著しく低下させ、予後にも影響を与えます。末梢神経障害、リンパ浮腫、がん痛はがん患者に多く見られますが、悪液質の直接的な診断基準や特徴には含まれません。
選択肢ごとの解説
- 1. 末梢神経障害は、がん自体による圧迫や浸潤、化学療法や放射線療法などの治療の副作用として現れることがありますが、悪液質に特有の徴候ではありません。正しくは:悪液質は栄養状態の悪化に伴う全身性の消耗状態を指し、末梢神経障害は直接的な特徴ではありません。選びやすい理由:がん患者に多く見られる症状であるため、関連があるように感じやすい。混同注意:がんの直接的な症状や治療の副作用と混同しやすい。
- 2. リンパ浮腫は、リンパ節郭清などの手術や放射線治療、がんによるリンパ管の閉塞などによって引き起こされるもので、悪液質の直接的な徴候ではありません。正しくは:悪液質は栄養代謝異常による全身の消耗状態であり、リンパ浮腫とはメカニズムが異なります。選びやすい理由:がん患者に合併しやすい症状の一つであるため、関連があるように感じやすい。混同注意:がんの局所的な症状や治療の合併症と混同しやすい。
- 3. がん痛は、がんの浸潤や転移などによって引き起こされる直接的な痛みであり、悪液質自体を示す徴候ではありません。悪液質がある患者でもがん痛は起こりますが、悪液質の定義に含まれるものではありません。正しくは:悪液質は、がんや慢性疾患によって引き起こされる複雑な代謝異常と全身性の炎症反応に基づく症候群であり、痛みは直接的な構成要素ではありません。選びやすい理由:終末期がん患者の主要な症状であるため、悪液質と関連付けやすい。混同注意:終末期がん患者の一般的な症状全般と、悪液質の特異的徴候を混同しやすい。
- 4. 正解。悪液質は、がんによって引き起こされる全身性の炎症反応や代謝異常が原因で、食欲中枢が影響を受け、食欲が著しく低下することが主な特徴の一つです。
- 5. 正解。悪液質では、筋肉や脂肪組織の分解が促進され、摂取エネルギーが十分であっても全身性の炎症反応によりエネルギー消費が増大するため、意図しない顕著な体重減少(特に筋肉量の減少)が見られます。
国試ポイント
終末期がん患者に特徴的な病態である悪液質について、その主要な徴候や定義を正確に理解しているかを問う問題です。悪液質は、単なる栄養不良とは異なり、全身性の炎症反応を伴う複雑な代謝異常であることを理解することが重要です。
混同注意
悪液質は、単なる低栄養や痩せている状態とは異なり、炎症反応や代謝異常が根本にある病態です。単に食欲がない、体重が減ったというだけでなく、特に筋肉の減少が顕著であり、栄養補給だけでは改善が難しい点が特徴です。がんの他の合併症(例:悪心、嘔吐、嚥下障害、便秘、痛み)と混同して、悪液質の直接的な徴候ではないものを選択しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
悪液質の定義と主要な症状を理解しているか。さらに一歩進んで、悪液質のメカニズム(全身性炎症、代謝異常)や、悪液質と低栄養の違い、そして治療・ケアの原則について問われる可能性があります。
関連知識
悪液質の診断基準(例:体重減少の割合、BMI、握力、疲労感、C反応性タンパク質などの炎症マーカー)、悪液質の段階分類(前悪液質、悪液質、難治性悪液質)、悪液質に対する薬物療法(食欲増進薬、ステロイド、NSAIDsなど)や栄養療法、運動療法、看護ケアについて。また、がん終末期における緩和ケアの重要性についても関連が深いです。