Aさん(37歳、女性、会社員)は、夫(38歳)と2人暮らし。身長155 cm、体重57 kg。Aさんは、入浴中に右胸のしこりに気づき、病院を受診した。乳房超音波検査で右乳房外側下部に、直径約3cmの腫瘤が認められた。医師から乳癌の可能性が高いと説明され、検査を受けたところ、右乳癌と診断された。 Aさんは、乳房温存療法を希望したが、腫瘤が大きいため手術前に化学療法を受けることになった。術前化学療法としてEC療法(エピルビシン、シクロホスファミド)を3週ごとに、4サイクル受ける予定である。Aさんに起こりやすい障害はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
エピルビシンとシクロホスファミド(EC療法)は細胞障害性抗がん薬であり、卵巣機能に影響を与え卵巣機能不全を引き起こす可能性が高いです。特にシクロホスファミドはアルキル化薬であり、生殖腺毒性が強く、無月経や不妊の原因となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 嗅覚障害は、シスプラチンなどのプラチナ製剤や一部の分子標的薬で報告されることがありますが、EC療法の主要な副作用ではありません。正しくは:EC療法では嗅覚障害は主要な副作用ではない。選びやすい理由:一般的な抗がん剤の副作用として連想されやすいが、薬剤特異性が低い。混同注意:一般的な抗がん剤治療による不快な症状全般。
- 2. リンパ浮腫は、乳がん手術における腋窩リンパ節郭清や放射線治療の合併症として発生する可能性があり、EC療法のような術前化学療法の直接的な副作用ではありません。正しくは:リンパ浮腫は手術や放射線治療の合併症であり、EC療法の直接的な副作用ではない。選びやすい理由:乳がん治療全体に関連する合併症であるため、選択肢として魅力的。混同注意:乳がん治療全体の合併症。
- 3. 正解。エピルビシンとシクロホスファミド(EC療法)は、卵巣にダメージを与え、卵巣機能の低下や停止を引き起こす可能性が高いです。特にシクロホスファミドは卵巣毒性が強い薬剤として知られています。選びやすい理由:正しい知識。
- 4. 末梢神経障害は、タキサン系薬剤(パクリタキセル、ドセタキセル)やプラチナ製剤(シスプラチン、オキサリプラチン)などの副作用としてよく知られていますが、EC療法の主要な副作用ではありません。正しくは:末梢神経障害はタキサン系薬剤やプラチナ製剤でより頻繁に発生する。選びやすい理由:抗がん剤治療の一般的な副作用として認識されているため。混同注意:他の抗がん剤(タキサン系、プラチナ製剤)の副作用。
国試ポイント
乳がんの術前化学療法で用いられるEC療法の主な副作用を理解しておくことが重要です。
混同注意
乳がん治療全体で起こりうる副作用と、特定の薬剤(EC療法)による副作用を区別することが重要です。例えば、リンパ浮腫は手術や放射線治療後の合併症であり、EC療法の直接的な副作用ではありません。
次に同じ論点が出たら
術前化学療法のレジメン(薬剤の種類)を確認し、それぞれの薬剤に特有の副作用と発生時期を判断のポイントとします。
関連知識
EC療法以外にも、タキサン系薬剤(パクリタキセル、ドセタキセル)が乳がんの術前化学療法でよく用いられ、これらの薬剤では末梢神経障害や脱毛などが特徴的な副作用として知られています。また、HER2陽性乳がんではトラスツズマブなどの抗HER2療法も併用され、心機能障害のリスクがあります。