Aさん(32歳、男性)は、仕事上のストレスを抱えていた際に知人から誘われ、覚せい剤を常用するようになり逮捕された。保釈後、薬物依存症の治療を受けることができる精神科病院に入院し、治療プログラムに参加することになった。 入院時のAさんへの看護師の対応として適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第110回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
薬物依存症は回復可能な病気であることを伝えることで、患者に治療への希望と動機付けを与え、積極的な治療参加を促すことができます。これは、患者の回復プロセスにおいて非常に重要な看護師の役割です。
選択肢ごとの解説
- 1. 薬物依存症は患者の意志だけで簡単に断ち切れるものではなく、専門的な治療とサポートが必要です。安易な約束は患者をさらに追い詰める可能性があります。正しくは:患者の気持ちを受け止め、専門機関への相談を促す。選びやすい理由:一見すると再発防止に繋がるように思えるが、依存症の本質を理解していない対応である。混同注意:患者の意志に委ねるだけでは解決しないという点で混乱しやすい。
- 2. 正解。薬物依存症は治療によって回復が可能な病気であることを伝えることで、患者に希望を与え、治療への動機付けを促すことができます。これは患者の心理的安定に繋がり、治療プロセスへの協力姿勢を引き出す上で重要です。正しくは:記載の通りで適切。選びやすい理由:治療の難しさから回復を伝えることに躊躇するかもしれないが、希望を与えることは重要である。混同注意:依存症の治療は困難であるという認識から、回復を強調することに違和感を覚えるかもしれない。
- 3. 薬物依存症は病気であり、患者の道徳的な問題や意志の弱さとして捉えるべきではありません。反省を促すことは患者を非難することになり、自己肯定感を低下させ、治療への抵抗感を強める可能性があります。正しくは:患者の苦しみに共感し、治療への前向きな姿勢を支える。選びやすい理由:依存症の行動に対する責任を問うことで、改善を促すと思われがちである。混同注意:患者の行動への介入と、患者の心理的支援との区別が曖昧になりやすい。
- 4. 薬物依存症は個人の意思の力だけで克服するのが非常に困難な病態です。患者に自力での解決を強要することは、無力感を増大させ、治療への不信感を生じさせる可能性があります。正しくは:専門的な治療プログラムやサポートの必要性を伝え、一緒に取り組む姿勢を示す。選びやすい理由:患者自身の意欲を高めることが重要だと誤解されやすい。混同注意:治療への主体性と、自力での解決能力の混同が生じやすい。
国試ポイント
薬物依存症患者への基本的な看護介入として、病気であることの理解と、回復への希望を与えることの重要性が問われています。非難的・道徳的な介入ではなく、疾病としての側面を捉え、治療的な関わりができるかがポイントです。
混同注意
依存症に対する誤った認識(個人の意思の弱さ、道徳的問題など)に基づいた選択肢が混同しやすい。正しい理解は「依存症は治療可能な病気である」という点。
次に同じ論点が出たら
この後の看護師の対応としては、患者の現在の状態(離脱症状の有無、精神状態など)をアセスメントし、個別の治療計画に沿った支援を開始することが求められます。具体的には、離脱症状の緩和、精神的なサポート、治療プログラムの説明などが挙げられます。
関連知識
薬物依存症の治療は、解毒期、リハビリテーション期、社会復帰期を経て行われます。治療には薬物療法、精神療法(認知行動療法など)、自助グループ(NAなど)への参加などが含まれます。看護師は、患者の身体的・精神的健康の維持、合併症の管理、治療計画への協力、家族への支援などを担います。