午前9時頃、震度5強の地震が発生した。二次救急医療機関の救命救急病棟に勤務する看護師は、自身の身の安全を確保し、揺れが収まると病院の災害発生時のマニュアルに沿って行動を開始した。病棟には人工呼吸器を使用中の患者が1人、輸液ポンプを使用中の患者が3人、酸素療法中の患者3人が入院している。 A君とBさんはともに入院して治療が始まった。発災から10日後、A君、Bさんの治療経過は良好で合併症もなくバイタルサインは安定していた。Bさんから看護師に「Aは好きなお菓子を食べず、私のそばからずっと離れず甘えてきます。昨夜はおねしょをしていたようで、びっくりしました。どうしたらよいのかわかりません」と相談があった。看護師の対応として適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
災害時のストレスによって、子どもは退行現象を示すことがあります。甘えたり、おねしょをしたりする行動は、不安や恐怖の表れです。このような時、最も重要なのは、子どもに安心感と愛情を伝えることです。抱きしめるという行為は、身体的な接触を通じて子どもに安心感を与え、心理的な安定を促す上で非常に有効な看護介入となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 子どもの退行現象に対して、母親を責めるような言い方は適切ではありません。不安な子どもに安心感を与えることが重要であり、母親に厳しさを求める対応は逆効果になる可能性があります。正しくは:「Aさんの不安を受け止め、安心できる環境を整えましょう」選びやすい理由:子どもが甘える行動に対して、親が毅然と対応することで躾になるという考えがあるかもしれませんが、災害時のストレスによる退行現象には当てはまりません。混同注意:子どもの躾と災害ストレスによる行動変化を混同するかもしれません。
- 2. Aさんは災害のストレスにより不安を抱え、Bさんに甘えることで安心を得ようとしています。この状況で無理に一人にする時間を作ることは、かえってAさんの不安を増大させ、精神的な負担を大きくする可能性があります。正しくは:「Aさんが安心できる環境を整え、必要に応じて一緒に過ごす時間を提供しましょう」選びやすい理由:自立を促すことが良いと考えるかもしれませんが、現在のAさんの状態には適切ではありません。混同注意:自立支援と精神的サポートの優先順位を誤解するかもしれません。
- 3. おねしょはストレスによる退行現象の一部であり、水分摂取を制限することによる解決は適切ではありません。むしろ、脱水のリスクを高める可能性があります。また、水分制限は子どもの精神的負担をさらに増やす可能性があります。正しくは:「おねしょの原因がストレスにあることを説明し、Aさんが安心して過ごせるよう支援しましょう」選びやすい理由:おねしょの直接的な原因として水分摂取過多を想像するかもしれませんが、本事例では心理的要因が強く、身体的制限は不適切です。混同注意:器質的な夜尿症と心因性の夜尿症の区別がつかないかもしれません。
- 4. 正解。災害によるストレスで子どもが退行現象(甘え、おねしょなど)を示すことはよくあります。この時期の子どもには、身体的な接触や温かい言葉で安心感を与えることが非常に重要です。抱きしめることは、子どもに安心感と愛情を伝え、不安を軽減する効果があります。正しくは:この選択肢は適切であるため、修正の必要はありません。選びやすい理由:特になし。子どもの心理的ケアの基本。混同注意:抱きしめることで甘えが増長すると誤解するかもしれませんが、この状況では一時的な安心感を与えることが最優先です。
国試ポイント
災害時の子どもの心理的反応(退行現象)とその看護介入、特に安心感の提供の重要性について理解しているかが問われています。子どもの発達段階に応じた精神的ケアの知識が必要です。
混同注意
子どもの甘えに対して、躾や自立を促すことと、安心感を提供することの優先順位を混同しやすい。災害時の特殊な状況下では、まず心理的安定が優先されることを理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後、Aさんの退行現象が継続する場合や、新たなストレス反応が出現した場合には、専門家(精神科医、心理士など)への相談や連携も検討する必要がある。また、Bさんの精神的サポートも同時に継続する。
関連知識
災害精神医学、小児看護学、発達心理学(特にストレス時の行動変化)