Aさん(23歳、女性)は大学を卒業後、会社に就職して1人暮らしを始めた。入社後に「会社の制服が似合うようになりたい」とダイエットを始め、次第にるいそうが目立つようになった。「太るのが怖い」と言って食事を拒否するようになり、体重は1年間で10 kg減少した。しかし、本人は「まだ太っているから、痩せないといけない」と話していた。久しぶりにAさんと会った母親が、過度のるいそうを心配して、内科受診を勧めた。内科ではるいそう以外に大きな異常を認めず、精神科受診を勧められた。精神科では神経性無食欲症と診断され、外来通院を開始した。その後、低血糖によるふらつきのため職場で頻回に転倒するようになった。それでも食事を十分に摂らないため、精神科病棟へ入院した。入院時、身長166 cm、体重36 kgであった。入院後、食事のほかに点滴による栄養補給が始まった。 治療開始早期に看護師が最も注意すべき観察項目はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
治療開始早期において、輸液量、薬剤の種類、患者の全身状態によっては、心臓や腎臓への負担から循環血液量が増加し、浮腫が出現することがあります。特に高齢者や基礎疾患を持つ患者では、浮腫が呼吸困難や心不全の兆候となることもあるため、早期発見と適切な介入が極めて重要です。したがって、全身状態に直結し、重篤化するリスクのある浮腫が、治療開始早期に看護師が最も注意すべき観察項目と言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. 脱毛は治療の早期段階で現れる症状ではありません。一般的に、治療開始から数週間〜数ヶ月後に見られることが多い副作用です。正しくは:脱毛は治療開始から時間を経て現れる副作用であり、早期の緊急性は低い。選びやすい理由:がん治療ではよく見られる副作用なので、選択肢として考慮されやすいですが、時期が異なります。混同注意:治療開始早期の合併症と、治療の長期的な副作用を混同する可能性があります。
- 2. 正解。治療内容によっては、輸液過多や臓器機能の低下(特に心臓や腎臓)、薬剤の副作用などにより、治療開始早期に浮腫が出現する可能性があります。浮腫の進行は循環動態や呼吸状態に影響を及ぼすため、早期発見と対応が重要です。
- 3. 抑うつは治療の早期から見られることもありますが、浮腫のような身体的な緊急性を伴う症状と比べると、看護師が「最も注意すべき」観察項目としては優先度が低いと考えられます。また、抑うつは精神的な側面が強く、治療初期からすぐに重篤化するとは限りません。正しくは:抑うつは精神的な問題であり、緊急の身体的な介入を必要としないことが多い。選びやすい理由:患者の精神状態は常に重要ですが、「最も」という限定がついた場合に身体的な緊急性のある症状の方が優先されることがあります。混同注意:身体的症状の緊急性と精神的症状の重要性を混同する可能性があります。
- 4. 嚥下障害は特定の治療(例:頭頸部がんの放射線治療や手術、神経系疾患)に関連して生じることがありますが、一般的な治療全般の「早期」に「最も」注意すべき観察項目としては適切ではありません。治療内容によっては早期から注意が必要な場合もありますが、一般的な早期治療の副作用としては浮腫の方が広範囲にわたる可能性が高いです。正しくは:嚥下障害は特定の治療や疾患で重要だが、一般的な治療早期の最優先事項ではない。選びやすい理由:誤嚥性肺炎などのリスクを考えると重要に思えますが、全ての治療において早期に生じるわけではありません。混同注意:特定の治療の副作用と一般的な治療の早期副作用を混同する可能性があります。
国試ポイント
看護師が治療開始早期に患者の全身状態を適切に評価し、緊急性の高い合併症や副作用を識別できる能力を問う問題です。特に、循環器系の異常(浮腫)が呼吸器系や心臓機能に与える影響を理解しているかが重要となります。
混同注意
治療の長期的な副作用(脱毛、抑うつ)や、特定の疾患・治療に特異的な副作用(嚥下障害)と、一般的な治療早期に生じうる全身性の緊急性の高い副作用(浮腫)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、『治療の段階(早期・中期・後期)』と『副作用の緊急性・全身への影響』を考慮して選択肢を評価する。特に「最も」という限定語に注意し、優先順位の高いものを選択する。
関連知識
輸液管理、心不全の兆候、腎機能低下、薬剤性副作用、全身状態の観察ポイント。