Aさん(24歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。半年前に居眠り運転で交通事故を起こした。入眠時の幻視や睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。また、笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまうこともある。最も考えられる疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第108回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
Aさんの症状である「昼間の過剰な眠気」「入眠時の幻視」「睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなる(睡眠麻痺)」「笑ったり、怒ったりしたときに脱力してしまう(情動脱力発作)」は、ナルコレプシーの典型的な四徴(情動脱力発作、睡眠発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺)に完全に合致します。特に情動脱力発作はナルコレプシーに特異的な症状です。したがって、最も考えられる疾患はナルコレプシーです。
選択肢ごとの解説
- 1. 睡眠時遊行症(夢遊病)は、睡眠中に起き上がって歩き回るなどの複雑な行動をとる睡眠障害です。昼間の過剰な眠気、入眠時幻覚、情動脱力発作といった本症例の症状とは異なります。正しくは:睡眠時遊行症の症状は、睡眠中の歩行、食事、会話など、意識のない状態での行動です。選びやすい理由:睡眠関連の行動異常という点で混同しやすいかもしれませんが、症状の質が異なります。混同注意:レム睡眠行動障害と混同されやすいですが、レム睡眠行動障害は夢の内容に対応した行動が特徴です。
- 2. 正解。ナルコレプシーは、日中の耐えがたい眠気(睡眠発作)を主症状とし、情動脱力発作(カタプレキシー)、入眠時幻覚、睡眠麻痺(金縛り)といった症状を伴うことが特徴です。Aさんの症状はこれら全てに合致しています。正しくは:記載されている症状はナルコレプシーの典型的な四徴(ペンタッド)に該当します。選びやすい理由:複数の睡眠関連症状が見られるため、他の睡眠障害との鑑別が必要です。混同注意:特発性過眠症も日中の眠気を伴いますが、情動脱力発作は見られません。
- 3. 睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に繰り返し呼吸が止まることで、日中の眠気や倦怠感が生じます。しかし、入眠時幻覚、睡眠麻痺、情動脱力発作といった症状は通常伴いません。正しくは:睡眠時無呼吸症候群は、大きないびき、呼吸停止、日中の眠気が主な症状です。選びやすい理由:日中の眠気という共通点があるため、考えやすいですが、他の特徴的な症状で鑑別できます。混同注意:閉塞型と中枢型があり、病態が異なります。
- 4. 睡眠・覚醒スケジュール障害(概日リズム睡眠障害)は、体内時計と社会生活のサイクルがずれることで、入眠困難や中途覚醒、日中の眠気などが発生します。本症例に見られる入眠時幻覚や情動脱力発作は、この障害の典型的な症状ではありません。正しくは:睡眠・覚醒スケジュール障害は、主に睡眠の時間帯が社会生活と合致しないことで問題が生じます。選びやすい理由:日中の眠気が生じるため、選択肢として考慮されるかもしれませんが、症状の具体的な内容が異なります。混同注意:非24時間睡眠・覚醒リズム障害や交代勤務障害などが含まれます。
国試ポイント
ナルコレプシーの主要症状とその鑑別疾患について理解しているかが問われています。特に、日中の過剰な眠気を引き起こす他の睡眠障害(睡眠時無呼吸症候群、睡眠・覚醒スケジュール障害など)との鑑別ポイントを明確に把握することが重要です。
混同注意
睡眠時無呼吸症候群や特発性過眠症、うつ病などでも日中の眠気は生じることがありますが、情動脱力発作、入眠時幻覚、睡眠麻痺といったナルコレプシーに特徴的な症状の有無で鑑別します。
次に同じ論点が出たら
ナルコレプシーと診断された場合、治療法として、症状を軽減するための薬物療法(中枢神経刺激薬、抗うつ薬など)や生活習慣の改善指導(規則正しい睡眠、昼寝の導入など)が検討されます。患者の安全確保(特に運転など)も重要な看護の視点となります。
関連知識
ナルコレプシーは、脳内の覚醒を維持する神経伝達物質であるオレキシン(ヒポクレチン)が欠乏することで発症すると考えられています。情動脱力発作は、レム睡眠中に起こる骨格筋の活動抑制が、覚醒中に感情の刺激によって誘発される現象です。