Aさん(56歳、男性)は、コンビニエンスストアの店長で自動車を運転して通勤している。不規則な生活が続き、ストレスが溜まることも多く、十分な睡眠がとれないこともあった。荷物を運ぶときに胸部の圧迫感が繰り返し出現し受診したところ、狭心症が疑われたため検査をすることになった。脂質異常症の既往がある。 Aさんの経過は順調で、手術後4日に退院することになった。Aさんは「家に戻ってもまた症状が出るのではないかと心配です」と話した。Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
胃全摘出術後は、ダンピング症候群や貧血などの合併症を予防し、身体の回復を促進するために、生活習慣の調整が重要です。十分な睡眠は消化管の安静と全身の回復に寄与し、重い物の持ち上げは腹圧を上昇させ縫合不全やヘルニアのリスクを高めるため、これらを避けることは退院後の順調な回復に不可欠です。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃全摘出術後は、水分摂取が不足しがちであり、脱水予防のためにも十分な水分摂取が推奨される。控えめにする必要はない。正しくは:水分摂取は積極的に行いましょう。選びやすい理由:食後に大量の水分を摂るとダンピング症候群を誘発することがあるため、食直後の水分制限と混同しやすい。混同注意:食直後の水分摂取制限
- 2. 肉類は高タンパク質であり、術後の栄養回復には重要であるが、一度に大量に摂取すると消化吸収に負担がかかり、ダンピング症候群を誘発する可能性があるため、少量ずつ摂取することが推奨される。正しくは:肉類は消化しやすいように工夫し、少量ずつ摂りましょう。選びやすい理由:術後の回復にはタンパク質が必要であるという知識から、たくさん食べるべきだと誤解しやすい。混同注意:術後の栄養摂取の必要性
- 3. 正解。十分な睡眠は、全身の回復を促進し、ストレスを軽減することで、消化管の安静や免疫力の維持にも寄与するため、術後の回復期において非常に重要である。選びやすい理由:術後の全身管理として一般的な項目であり、特に胃全摘出術特有ではないように見えるが、全身の回復には不可欠であるため適切。混同注意:特定の臓器に特化した指導ではないこと
- 4. 自動車の運転再開時期は、患者の回復状況や痛みの程度、服用している薬剤などによるが、術後5日で退院するAさんであれば、術後数週間から1ヶ月程度で医師の許可があれば運転再開は可能となることが多い。術後すぐに恒久的に控える必要はない。正しくは:医師と相談し、体調が回復してから運転を再開しましょう。選びやすい理由:術後は安静が必要であるという一般的な考え方から、運転も控えるべきだと考えやすい。ただし、長期間の制限ではないため不適切。混同注意:一時的な安静の必要性
- 5. 正解。胃全摘出術後早期に重い物を持ち上げる動作は、腹圧を上昇させ、縫合不全や創部離開、腹壁瘢痕ヘルニアなどの合併症を引き起こすリスクがあるため、次回の外来受診までは避けるべきである。選びやすい理由:術後の活動制限として一般的な項目であり、胃全摘出術に限らず重要であるため適切。混同注意:特定の臓器に特化した指導ではないこと
国試ポイント
胃全摘出術後の生活指導(食事、活動制限、合併症予防)に関する知識が問われている。
混同注意
一般的な術後の安静指導と、胃全摘出術特有の合併症予防のための指導を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
胃全摘出術後の退院指導では、食事内容、活動制限(特に腹圧のかかる動作)、合併症の症状とその対処法、定期受診の重要性に着目して判断する。
関連知識
胃全摘出術後の主な合併症:ダンピング症候群、逆流性食道炎、貧血、骨粗鬆症。これらに対する食事療法、生活指導、薬物療法を関連付けて覚える。