老年期の発達課題を引退の危機、身体的健康の危機および死の危機の3つの段階で示したのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第111回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
ペックはエリクソンの「自己統合 vs 絶望」という老年期の発達課題をさらに具体化し、引退後の役割喪失に対する「自我分化 vs 仕事への囚われ」、身体機能の衰えに対する「身体の超越 vs 身体への囚われ」、そして自己の死に対する「自我の超越 vs 死への囚われ」という3つの適応課題(危機)を提示しました。これはそれぞれ、問題文にある「引退の危機」「身体的健康の危機」「死の危機」に直接対応しています。
選択肢ごとの解説
- 1. エリクソンは老年期の発達課題を「自己統合 vs 絶望」と提唱しましたが、引退、身体的健康、死の危機といった具体的な3段階の危機として論じたのはペックです。正しくは:エリクソンは老年期の発達課題を「自己統合 vs 絶望」と提唱した。選びやすい理由:老年期の発達課題を論じた著名な理論家であり、最も名前が知られているため、関連性が深いと感じやすい。混同注意:ペックの理論がエリクソンの理論を発展させたものであるため、両者が混同されやすい。
- 2. レビンソンは成人期の発達段階を「人生の四季」として論じ、特に中年期の過渡期に焦点を当てた理論で知られています。老年期の3つの危機を具体的に提唱したわけではありません。正しくは:レビンソンは成人期の発達を「人生の四季」と表現し、特に中年期の過渡期について言及した。選びやすい理由:成人期全般の発達理論を提唱しているため、老年期にも深く関連すると思われがち。混同注意:成人期の発達を段階的に論じる他の理論家(例えば、エリクソンやハヴィガースト)と混同しやすい。
- 3. 正解。ペックはエリクソンの理論をさらに詳細化し、老年期に特有の発達課題として「自我分化 vs 仕事への囚われ(引退の危機)」「身体の超越 vs 身体への囚われ(身体的健康の危機)」「自我の超越 vs 死への囚われ(死の危機)」という3つの適応課題を提唱しました。これは問題文の3つの危機に直接対応します。
- 4. ユングは中年期以降の「個性化の過程」や「元型」といった概念を提唱しましたが、老年期の発達課題を具体的な3つの危機として示したわけではありません。正しくは:ユングは中年期以降の精神発達において「個性化の過程」の重要性を説いた。選びやすい理由:心理学の著名な理論家であり、人生後半の精神的変化に言及しているため、正解肢だと誤解しやすい。混同注意:成人期以降の精神発達を論じるフロイト派以外の心理学者と混同しやすい。
国試ポイント
看護師国家試験では、エリクソンに代表されるような生涯発達理論の全体像だけでなく、老年期に特化した発達課題や心理社会的適応についての理解が問われます。特に、エリクソンの理論を基礎としつつ、より具体的な老年期の課題を提唱したペックの理論は頻出です。それぞれの理論家がどのようなキーワードや概念を提唱したのかを正確に覚えることが重要です。
混同注意
エリクソンは老年期発達理論の基礎として広く知られているため、まずエリクソンを想起しがちです。しかし、エリクソンが「自己統合 vs 絶望」という包括的な課題を提示したのに対し、ペックは「引退、身体、死」といった具体的な危機に焦点を当てて3つの段階に分類している点が大きな違いです。レビンソンは中年期の「人生の四季」で、ユングは「個性化の過程」で有名であり、老年期の発達課題を3つの危機として示したのはペック特有の記述です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、まず問題文が「引退、身体、死」といった具体的な危機や適応課題に言及しているかを確認することが重要です。これらの具体的なキーワードがあれば、ペックの理論である可能性が高いと判断できます。もし「自己統合」といったより抽象的な概念が問われていればエリクソンを選ぶ、といったように、具体的なキーワードに注目して区別すると良いでしょう。
関連知識
・エリクソン:生涯発達理論(8段階の発達段階)、老年期は「自己統合 vs 絶望」。 ・ペック:エリクソンの理論を補完・発展させたもので、特に老年期の3つの課題(自我分化、身体の超越、自我の超越)。 ・ハヴィガースト:発達課題の概念を提唱。老年期の発達課題としては、体力・健康の衰えへの適応、引退と収入減少への適応、配偶者の死への適応など。 ・老化の心理:喪失体験(役割、健康、人間関係)と適応、アイデンティティの再構築、ライフレビューなど。