A君(14歳、男子)は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500 mL摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32°Cであった。15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。 B教諭に付き添われて、A君は病院に到着した。来院時、A君のバイタルサインは、体温38.5°C、呼吸数26/分、脈拍128/分、血圧90/48 mmHgであった。口唇粘膜は乾燥し、皮膚をつまむとゆっくり戻る状態であった。血液検査データは、赤血球580万/μL、白血球12,500/μL、Hb 16.8 g/dL、Na 152 mEq/L、K 4.0 mEq/L、Cl 109 mEq/L、クレアチニン0.9 mg/dLであった。尿比重1.035。受診時の身長165 cm、体重57 kg(発症前60 kg)。A君の状態に対するアセスメントとして適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
患者のバイタルサイン(血圧低下、頻脈、発熱)、身体所見(口唇粘膜乾燥、皮膚ツルゴール低下)、血液検査データ(Na152mEq/L、赤血球・Hb・Htの相対的上昇傾向)、尿検査(尿比重1.035)および体重減少(3kg)は、いずれも脱水状態を示唆しています。特に血清ナトリウム値152mEq/Lは高ナトリウム血症の診断基準を満たしており、脱水による水分喪失がナトリウム濃度の上昇に寄与しています。したがって、高ナトリウム血症であるというアセスメントが適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 赤血球数、ヘモグロビン値ともに基準範囲内であり、貧血ではありません。むしろ脱水により相対的に高値を示している可能性があります。正しくは:多血症または脱水による相対的赤血球増加の可能性がある。選びやすい理由:発症前より体重が減少しているため、全身状態の悪化を連想させやすいが、貧血を直接示すデータはない。混同注意:体重減少と全身倦怠感などの症状から貧血を疑うかもしれないが、血液データを確認する必要がある。
- 2. 血清カリウム値(K4.0mEq/L)は基準範囲内(3.5~5.0mEq/L)であり、低カリウム血症ではありません。正しくは:血清カリウム値は正常範囲内である。選びやすい理由:脱水状態では電解質異常を合併しやすいことから、カリウムも異常があるのではないかと推測する可能性がある。混同注意:脱水時の電解質異常は多様であり、カリウム値も変動しうるが、このデータでは正常範囲内である。
- 3. 正解。血清ナトリウム値(Na152mEq/L)は基準範囲(135~145mEq/L)を上回っており、高ナトリウム血症と判断されます。これは脱水症状と関連が深いです。
- 4. 血圧低下(90/48mmHg)、脈拍増加(128/分)、口唇粘膜乾燥、皮膚ツルゴール低下(皮膚をつまむとゆっくり戻る)、発症前からの体重減少(3kg減)、尿比重の高値(1.035)は、いずれも循環血液量の減少(脱水)を示唆しています。正しくは:循環血液量が減少している。選びやすい理由:脱水とは逆の病態であり、選択肢として明らかに不適切である。混同注意:血圧や脈拍のデータは循環血液量減少の典型的な兆候であり、誤解の余地は少ないだろう。
- 5. 「皮膚をつまむとゆっくり戻る状態」は、皮膚のツルゴール反応が低下していることを示しており、脱水の兆候です。正常であれば、つまんだ皮膚はすぐに戻ります。正しくは:ツルゴール反応は低下している。選びやすい理由:「ゆっくり戻る」という表現が、すぐに戻らないとしても正常の範囲内ではないかと誤解する可能性がある。混同注意:ツルゴール反応の評価基準を正確に理解しているかが問われる。正常はすぐに戻ること。
国試ポイント
脱水状態における身体所見、バイタルサイン、血液データ、尿検査データの関連性を総合的にアセスメントする能力が問われる。特に電解質異常(高ナトリウム血症)と脱水の病態生理の理解が重要。
混同注意
各選択肢が示す病態の基準値や典型的な所見を正確に知っているかがポイントとなる。特にツルゴール反応の「ゆっくり戻る」を正常と誤認しないこと。
次に同じ論点が出たら
この患者の脱水の原因と重症度を特定し、適切な輸液療法や水分摂取指導などの看護計画を立案する。意識レベルの変化にも注意し、全身状態の継続的なモニタリングが必要となる。
関連知識
脱水の種類(等張性、高張性、低張性脱水)、脱水の重症度評価、脱水時の輸液療法。高ナトリウム血症の病態生理と治療。