A君(14歳、男子)は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500 mL摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32°Cであった。15分休憩し練習を再開したところ、A君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。サッカー部担当のB教諭が、A君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。 B教諭が病院に電話連絡したところ、熱中症の疑いがあるため、A君をタクシーで病院に連れて行くこととなった。このときのA君の意識は清明で、体温は38.7°Cであった。病院到着までに、看護師がB教諭に指示する処置として適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
意識清明で体温が38.7℃の熱中症の疑いがある場合、最優先されるのは深部体温の低下を図るための身体冷却です。これにより、熱中症の重症化を防ぎ、臓器障害のリスクを低減します。病院到着までの限られた時間でも、冷却はすぐに始めるべき重要な処置です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。意識清明で体温が38.7℃と上昇している場合、熱中症の初期段階である可能性が高く、深部体温の上昇を抑えるために体を冷やすことが最も重要です。これにより、熱中症の進行を防ぎ、臓器障害のリスクを低減します。正しくは:正しい選択肢のため、修正不要です。選びやすい理由:すぐに病院へ向かうため、応急処置の優先度を迷うかもしれませんが、深部体温の低下は最も優先されるべきです。混同注意:水分補給も重要ですが、体温上昇が先行している場合は冷却が優先されます。
- 2. 意識清明であれば水分補給は可能ですが、体温が38.7℃と上昇している熱中症の状況では、水分補給よりも体を冷やすこと(冷却)が優先されます。脱水による水分不足は熱中症の一因ですが、まず深部体温を下げる必要があります。また、意識障害がある場合は誤嚥のリスクがあるため、意識清明を確認してから行います。正しくは:「A君の身体を冷却する」が優先される処置です。選びやすい理由:熱中症では脱水が起こるため、水分補給は重要だと考えがちです。しかし、この時点での最優先は冷却です。混同注意:水分補給も熱中症の対処法の一つですが、発熱がある場合は冷却が最優先です。
- 3. 熱中症における上半身の挙上は、呼吸困難や脳浮腫の兆候がない限り、一般的な初期対応ではありません。熱中症では全身の冷却が重要であり、体位保持は冷却効果に直接寄与しません。安静に寝かせた状態で冷却を行うのが一般的です。正しくは:上半身を起こすのではなく、安静を保ち冷却しやすい体位をとらせるべきです。選びやすい理由:意識清明であっても体調不良の場合、楽な体位を取らせたいと考えるかもしれません。混同注意:呼吸器疾患や心疾患における体位と混同する可能性があります。
- 4. 熱中症におけるマッサージは、循環改善効果が期待されることもありますが、体温が上昇している状態での初期対応としては適切ではありません。マッサージによって筋肉からの熱産生が増加する可能性もあり、冷却を妨げる可能性があります。最優先は体を冷やすことです。正しくは:マッサージは行わず、冷却処置を優先します。選びやすい理由:血行を良くすることが体調改善に繋がると考えがちですが、熱中症には当てはまりません。混同注意:熱中症でみられるこむら返りなどの筋肉のけいれんに対する対処と混同する可能性があります。
国試ポイント
熱中症の初期対応における優先順位を理解しているか。特に、体温上昇時の冷却の重要性を把握しているかが問われています。意識状態と体温を正確に把握し、適切な処置を選択する能力が求められます。
混同注意
熱中症における水分補給と冷却の優先順位で迷いやすい。意識清明であれば水分補給も可能だが、高体温時は冷却が最優先となる。
次に同じ論点が出たら
この後、病院に到着した際の診察において、A君の症状に応じたさらなる治療方針(点滴、より積極的な冷却、検査など)を判断することになります。
関連知識
熱中症の分類(Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度)とそれぞれの症状、および初期対応。冷却方法(冷水、氷嚢、濡れタオルなど)、経口補水液の適切な摂取方法。