輸血後、数日から数週間経過してから出現する副作用(有害事象)はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第107回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
輸血後移植片対宿主病(PT-GVHD)は、輸血されたリンパ球が宿主の組織を攻撃することで発症します。これは、輸血されたリンパ球が宿主の免疫系によって排除されずに生着し、宿主の主要組織適合抗原(MHC)を異物と認識して攻撃するためです。発症にはリンパ球の増殖と攻撃のプロセスが必要であり、通常は輸血後数日から数週間(多くは1〜2週間後)の潜伏期間を経て、発熱、皮疹、肝機能障害、下痢、骨髄抑制などの症状を呈します。
選択肢ごとの解説
- 1. 溶血性反応は、赤血球が破壊される反応で、通常は輸血中から輸血後24時間以内に発症する急性溶血性輸血反応と、数日〜数週間後に発症する遅発性溶血性輸血反応があります。しかし、本選択肢は単に「溶血性反応」とあり、問題文の「数日から数週間」という時期には遅発性溶血性輸血反応も当てはまりますが、より特徴的な遅発性反応であるPT-GVHDが正答とされています。急性溶血性輸血反応であれば問題文の期間とは一致しません。正しくは:遅発性溶血性輸血反応であれば、数日から数週間後に現れる有害事象となりえます。選びやすい理由:「溶血性反応」という広い概念の中に、遅発性のものも含まれるため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:急性溶血性輸血反応(輸血中〜24時間以内発症)。
- 2. 末梢血管収縮反応は、輸血後に特異的に数日から数週間かけて現れる有害事象ではありません。何らかの薬物や病態によって末梢血管が収縮することはありますが、輸血によって遅発的に起こる主要な有害事象として認識されていません。選びやすい理由:血管に関連する輸血の合併症を想起させる可能性がありますが、具体的な輸血合併症としては一般的ではありません。混同注意:血管迷走神経反射やサイトカイン放出症候群など、血圧変動を伴う他の急性輸血反応。
- 3. アナフィラキシー反応は、輸血中に血漿中の特定のタンパク質(IgA欠損症患者が抗IgA抗体を持つ場合など)に対する即時型アレルギー反応であり、通常は輸血開始直後から数分〜数時間以内に発症する急性有害事象です。問題文の「数日から数週間」という期間とは一致しません。正しくは:アナフィラキシー反応は、輸血開始直後から数分〜数時間以内に現れる急性有害事象です。選びやすい理由:輸血の重篤な合併症としてよく知られているため、選択肢として目立つ可能性があります。混同注意:遅発型アレルギー反応や、他の遅発性輸血反応。
- 4. 正解。輸血後移植片対宿主病(PT-GVHD)は、輸血されたTリンパ球が宿主を攻撃することで生じ、通常、輸血後1〜2週間(数日から数週間)で発症する遅発性の重篤な輸血合併症です。発熱、皮疹、肝機能障害、下痢、骨髄抑制などの症状を呈し、致死率が高いことで知られています。問題文の「数日から数週間の期間を経てから現れる」という発症時期と合致します。選びやすい理由:選択肢が他の急性反応と異なる発症時期を持つため、この情報が重要な手がかりとなります。混同注意:臓器移植後のGVHD(移植された臓器中のリンパ球が宿主を攻撃する)とは病態が異なりますが、名前が似ているため混同しやすいです。
国試ポイント
輸血による有害事象の分類と、それぞれの発症時期・機序・症状を正確に理解しておくことが重要です。特に、急性反応と遅発性反応の区別は頻出です。
混同注意
即時型アレルギー反応(アナフィラキシー)や急性溶血性輸血反応は輸血中から数時間以内に発症する急性有害事象であり、数日〜数週間後に発症するPT-GVHDとは発症時期が大きく異なります。
次に同じ論点が出たら
「数日から数週間」という発症時期の記述があった場合、遅発性の有害事象、特にPT-GVHDを疑って判断します。
関連知識
PT-GVHDの予防には、輸血用血液製剤への放射線照射が有効です。これにより、輸血されるリンパ球の増殖能を失わせることができます。PT-GVHDは致死率が高く、一度発症すると有効な治療法が限られるため、予防が極めて重要です。