慢性腎臓病においてリンの代謝障害によって生じる症状はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第113回看護師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
慢性腎臓病では、腎機能の低下によりリンの排泄が滞り、高リン血症を招きます。この高リン血症は、活性型ビタミンDの産生を抑制し、血中カルシウム濃度の低下を引き起こします。これにより副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌が過剰になり(二次性副甲状腺機能亢進症)、骨からのカルシウム・リンの遊離が促進され、骨痛や骨折などの腎性骨病変が生じます。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。慢性腎臓病によるリン代謝障害は、高リン血症や活性型ビタミンDの不足を引き起こし、二次性副甲状腺機能亢進症を誘発します。これにより骨吸収が促進され、線維性骨炎などの骨病変が生じ、骨痛として現れることがあります。選びやすい理由:一見、骨の痛みは直接的な症状に思えるが、リン代謝異常という根本原因と結びつける必要がある。混同注意:単なる加齢による骨関節痛や、他の腎臓病合併症(例えば低カルシウム血症によるテタニーなど)と混同しないようにする。
- 2. 貧血は慢性腎臓病の一般的な合併症ですが、主な原因は腎臓からのエリスロポエチン産生低下や炎症による鉄利用障害であり、リン代謝障害とは直接的な関連が薄いです。正しくは:貧血の原因はエリスロポエチン産生低下が主である。選びやすい理由:慢性腎臓病の症状として貧血は非常に有名なので、選択肢として魅力的である。混同注意:慢性腎臓病の多くの症状の中から、リン代謝障害に特化したものを区別する必要がある。
- 3. 浮腫は慢性腎臓病の合併症の一つで、腎機能低下による水分・ナトリウム貯留や低アルブミン血症が原因となります。リン代謝障害が直接的な原因となることは通常ありません。正しくは:浮腫の原因は水分・ナトリウム貯留が主である。選びやすい理由:腎臓病といえば浮腫というイメージが強いため、正しいと誤解しやすい。混同注意:腎臓病の症状全般と、特定の代謝障害に起因する症状を混同しない。
- 4. 不整脈は慢性腎臓病患者に多く見られますが、主な原因は電解質異常(特に高カリウム血症)、心臓合併症(心肥大、虚血性心疾患)などであり、リン代謝障害が直接の原因となることは稀です。ただし、重度の高リン血症がカルシウム沈着を引き起こし、間接的に心臓に影響を与える可能性はゼロではありませんが、主要な直接症状ではありません。正しくは:不整脈の原因は高カリウム血症や心臓合併症が主である。選びやすい理由:電解質異常(カリウムやカルシウム)と不整脈の関連は強いため、リン代謝障害も何らかの形で関与するのではないかと推測してしまいがちである。混同注意:リンとカルシウムのバランスが心臓に影響を与えることはあるが、リン代謝障害が直接不整脈を引き起こすというよりは、他の電解質異常を介していることを理解する。
国試ポイント
慢性腎臓病における電解質・ミネラル代謝異常とその結果生じる合併症、特に腎性骨病変に関する知識が問われています。それぞれの選択肢がなぜ該当するのか、あるいは該当しないのかを明確に説明できることが重要です。
混同注意
慢性腎臓病の症状は多岐にわたるため、個々の症状と特定の代謝障害との因果関係を正確に理解しておく必要があります。特に貧血や浮腫といった代表的な症状と、リン代謝障害による症状を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
慢性腎臓病患者の採血データから、高リン血症が確認された場合に、次に看護師としてどのような症状を観察し、どのようなケアを行うべきか判断できる。
関連知識
二次性副甲状腺機能亢進症、腎性骨病変(線維性骨炎、骨軟化症など)、高リン血症、活性型ビタミンD、カルシウム代謝、エリスロポエチン、水分・ナトリウム貯留