脊髄小脳変性症と比較した場合の多発性硬化症の特徴はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
多発性硬化症(MS)と脊髄小脳変性症(SCD)は、共通して運動失調、構音障害、痙縮、嚥下障害などの症状を呈することがあります。しかし、「有痛性強直性けいれん」はMSに特徴的な発作性症状であり、顔面、体幹、四肢の特定の部位に数秒から数十秒続く強い痛みとこわばりが突然起こり、しばしば繰り返されます。これはMSにおける脱髄病変によって生じる神経の異常興奮が原因とされています。SCDではこのような発作性症状は一般的ではありません。したがって、鑑別点として最も適切なのは「有痛性強直性けいれん」です。
選択肢ごとの解説
- 1. 痙縮は多発性硬化症(MS)と脊髄小脳変性症(SCD)のどちらでも見られる症状であり、特にMSにのみ特徴的というわけではありません。両疾患ともに錐体路の障害によって生じる可能性があります。正しくは:多発性硬化症に特有の症状ではない。選びやすい理由:多発性硬化症では錐体路障害が頻繁に見られるため、痙縮は一般的な症状として認識されやすいですが、脊髄小脳変性症でも病型によっては錐体路徴候(痙縮)を呈することがあります。混同注意:多くの神経疾患で共通して見られる症状であるため、特定の疾患の特徴と誤認しやすい。
- 2. 運動失調は、脊髄小脳変性症の主要な症状の一つであり、多発性硬化症でも小脳やその関連経路の脱髄病変によって頻繁に現れます。そのため、MSに特有の症状とは言えません。正しくは:多発性硬化症に特有の症状ではない。選びやすい理由:多発性硬化症の主要症状の一つであり、患者のQOLに大きく影響するため、印象に残りやすい症状ですが、脊髄小脳変性症の病名からもわかるように、脊髄小脳変性症においても主要症状です。混同注意:脊髄小脳変性症の代表的な症状であり、多発性硬化症でも見られるため、鑑別点として扱いにくい。
- 3. 嚥下障害は、多発性硬化症と脊髄小脳変性症のどちらにおいても、病状が進行すると見られることがある症状です。脳幹や小脳の機能障害によって引き起こされるため、特定の疾患に限定されるものではありません。正しくは:多発性硬化症に特有の症状ではない。選びやすい理由:進行した神経疾患では共通して嚥下障害が見られることが多いため、選択肢として違和感がないかもしれません。混同注意:多くの神経難病で共通して見られる症状であるため、特定の疾患の特徴と誤認しやすい。
- 4. 構音障害は、多発性硬化症と脊髄小脳変性症の両方で現れる症状です。特に小脳性の構音障害は両疾患に共通して見られることが多く、MSに特有とは言えません。正しくは:多発性硬化症に特有の症状ではない。選びやすい理由:多発性硬化症の主要症状の一つであり、また脊髄小脳変性症でも高頻度であるため、両者で共通している症状として認識されやすいですが、それが鑑別点にはなりません。混同注意:運動失調と同様に、脊髄小脳変性症の主要症状の一つであり、多発性硬化症でも見られるため、鑑別点として扱いにくい。
- 5. 正解。有痛性強直性けいれんは、多発性硬化症に比較的特徴的な発作性症状の一つです。感覚神経路や運動神経路の脱髄病変によって、短絡的な異常興奮が生じることで発現すると考えられています。一方、脊髄小脳変性症では一般的にこの症状は見られません。混同注意:筋肉のこわばりという点では痙縮と似ていますが、「発作性」で「有痛性」である点が明確に異なります。
国試ポイント
神経疾患の鑑別診断において、共通する症状と各疾患に特異的または特徴的な症状を区別できるかが問われています。特に多発性硬化症に特徴的な発作性症状(有痛性強直性けいれん、三叉神経痛、発作性構音障害など)を理解していることが重要です。
混同注意
痙縮や運動失調、構音障害、嚥下障害といった症状は、多くの神経難病、特に多発性硬化症と脊髄小脳変性症の両方で見られるため、これらを「特徴」として選んでしまうと誤答につながります。特定の疾患に『比較的』特徴的とされる症状を正確に把握することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次回、同じ論点が出題される場合は、多発性硬化症の他の特徴的な発作性症状(例:三叉神経痛、発作性構音障害、tonic spasmなど)や、他の鑑別すべき神経疾患(例:ギラン・バレー症候群、視神経脊髄炎スペクトラム障害)との比較が問われる可能性があります。また、病型(再発寛解型、一次性進行型など)による症状の違いや、疾患の治療法についても確認しておくと良いでしょう。
関連知識
多発性硬化症の主要症状には、視力障害(視神経炎)、感覚障害(しびれ)、運動麻痺(痙縮、筋力低下)、運動失調、構音障害、膀胱直腸障害、疲労、認知機能障害などがあります。これらに加えて、本問のような発作性症状も特徴的です。脊髄小脳変性症は、小脳や脊髄の神経細胞が変性・脱落する進行性の疾患で、主要症状は運動失調、構音障害、嚥下障害、時に痙縮などです。