ASIA機能障害尺度〔ASIA Impairment Scale〈AIS〉〕で正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
ASIA機能障害尺度(AIS)は、脊髄損傷の神経学的レベルと完全性を分類するために用いられる国際的な基準です。選択肢2の通り、感覚評価では軽触覚と針刺激覚を28の特定のデルマトームで評価します。また、選択肢4の通り、運動評価では10の主要筋について、0から5の6段階(MRCスケール)で筋力を評価します。
選択肢ごとの解説
- 1. ASIA機能障害尺度(AIS)の運動評価は、特定の髄節に割り当てられた主要筋の筋力を0から5の6段階で評価します。握力は複数の筋群と関節運動が関与する複合的な機能であり、AISの主要な評価項目には含まれません。正しくは:特定の主要筋の筋力を評価する。選びやすい理由:運動機能の一部であるため、脊髄損傷後の運動能力評価として関連があるように思えるかもしれません。しかし、AISの目的は神経学的損傷レベルの特定であり、そのための特定の評価項目が定められています。混同注意:一般的な身体機能評価(例えば、上肢機能検査)とAISの特異的な神経学的評価項目を混同している可能性があります。
- 2. 正解。AISの感覚評価では、28の特定の皮膚分節(デルマトーム)における軽触覚(light touch)と針刺激覚(pinprick sensation)を評価します。これにより、感覚の損傷レベルと完全性を判断します。
- 3. AISは脊髄損傷の神経学的レベルと完全性を分類するための尺度であり、運動機能と感覚機能の評価に特化しています。関節可動域(ROM)は筋骨格系の評価項目であり、AISの直接的な評価対象ではありません。正しくは:関節可動域は直接的な評価項目ではない。選びやすい理由:脊髄損傷後の機能評価として、関節可動域も重要な要素であるため、AISに含まれると誤解しやすいです。しかし、AISは神経学的損傷の分類に焦点を当てています。混同注意:一般的な作業療法や理学療法の評価バッテリーとAISの専門的な神経学的評価項目を混同している可能性があります。
- 4. 正解。AISの運動評価では、左右10箇所の主要筋について、徒手筋力テスト(MMT)のModified Medical Research Council (MRC) スケールに基づき、0(完全麻痺)から5(正常な筋力)までの6段階(0, 1, 2, 3, 4, 5)で評価します。
- 5. AISで評価される運動機能の主要筋は、C5からT1、L2からS1までの特定の10の髄節に割り当てられています(例: C5は肘関節屈曲、C6は手関節背屈)。C4髄節は呼吸筋(横隔膜)支配に関わる重要な髄節ですが、AISの運動評価における主要筋としては含まれていません(ただし、C4レベルの感覚は評価されます)。正しくは:C4髄節は運動評価の主要筋としては含まれない。選びやすい理由:C4は頸髄損傷で頻繁に言及されるレベルであり、感覚評価の対象でもあるため、運動も評価されると誤解しやすいです。混同注意:脊髄損傷の神経学的レベル全般と、AISで具体的に評価される『キーマッスル』の特定の髄節を混同している可能性があります。
国試ポイント
この問題は、ASIA機能障害尺度(AIS)の基本的な構成要素、特に感覚と運動の評価項目、その評価方法、および評価対象となる特定の髄節・筋・感覚領域に関する正確な知識を問うものです。AISの目的と評価手順を理解しているかが重要となります。
混同注意
AISの評価項目と一般的な身体機能評価項目(例:握力、ROM)を混同しやすいです。また、脊髄損傷の神経学的レベルと、AISで具体的に評価される『キーマッスル』や『キーデルマトーム』の特定の髄節を混同する可能性があります。特に、感覚レベルと運動レベルの評価対象髄節が異なる場合があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題される場合、AISにおける特定の主要筋(例:C7の運動評価筋は何か)や感覚デルマトームの正確な部位、またはAIS分類(A〜E)の具体的な診断基準が問われる可能性が高いです。また、AISの結果に基づく予後の予測やリハビリテーション介入の方向性に関する応用問題も考えられます。
関連知識
ASIA機能障害尺度(AIS)の評価手順、具体的なキーマッスル(C5: 肘屈曲、C6: 手関節背屈など)、キーデルマトームの位置、感覚(軽触覚・針刺激覚)の評価方法、およびAIS分類(A: 完全麻痺、B: 不完全麻痺・感覚残存、C: 不完全麻痺・運動残存、D: 不完全麻痺・有効な運動残存、E: 正常)の基準についても理解しておく必要があります。