アナフィラキシーショックに関与するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
アナフィラキシーショックは、I型アレルギー反応の最も重篤な全身性症状であり、その病態形成には肥満細胞が中心的な役割を担います。肥満細胞の表面にはIgE抗体のFc部分が結合する受容体(FcεRI)が存在し、これに結合したIgE抗体に特異抗原が結合すると、細胞が活性化されて脱顆粒を起こします。脱顆粒により、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの化学伝達物質が放出され、全身の血管拡張、気管支平滑筋収縮、消化管平滑筋収縮などが引き起こされ、血圧低下、呼吸困難、意識障害などのショック症状を呈します。
選択肢ごとの解説
- 1. B細胞はIgE抗体を産生する形質細胞へと分化しますが、アナフィラキシーショックの直接的な症状を引き起こす化学伝達物質を放出する細胞ではありません。正しくは:IgE抗体を産生する形質細胞は、アナフィラキシーショックの原因となる抗原特異的IgEを供給しますが、ショック症状の直接的な引き金となる化学伝達物質を放出するのは肥満細胞です。選びやすい理由:アレルギー反応には抗体が関わるため、抗体産生細胞であるB細胞が重要だと誤解しやすいです。混同注意:IgE抗体の産生と、その後のアレルギー反応の実行細胞(エフェクター細胞)の役割を混同する可能性があります。
- 2. 好中球は主に細菌感染時の炎症反応や食作用に関与する白血球の一種であり、アナフィラキシーショックのような即時型アレルギー反応の主役ではありません。正しくは:好中球は主に細菌感染に対する防御反応に関与し、アナフィラキシーショックの直接的な病態形成には関与しません。選びやすい理由:炎症反応に関わる免疫細胞であるため、アレルギー反応も炎症の一種と捉えて選択してしまう可能性があります。混同注意:一般的な炎症反応における好中球の役割と、即時型アレルギー反応の特異的なメカニズムを混同する可能性があります。
- 3. NK(ナチュラルキラー)細胞は、ウイルス感染細胞や腫瘍細胞を直接殺傷する自然免疫細胞であり、アナフィラキシーショックには直接関与しません。正しくは:NK細胞はウイルス感染細胞や腫瘍細胞の排除に主に働く細胞であり、アナフィラキシーショックの引き金となる化学伝達物質の放出には関与しません。選びやすい理由:免疫細胞の一種であるため、漠然と免疫反応全般に関わると考えて選択するかもしれません。混同注意:細胞性免疫におけるNK細胞の役割と、即時型アレルギーの液性免疫を介した機序を区別できていない可能性があります。
- 4. 正解。肥満細胞はIgE抗体が結合する受容体(FcεRI)を細胞表面に持ち、抗原がこのIgE抗体に結合することで活性化(脱顆粒)します。これにより、ヒスタミン、ロイコトリエン、プロスタグランジンなどの強力な化学伝達物質が放出され、血管拡張、気管支収縮、平滑筋収縮などを引き起こし、アナフィラキシーショックの症状を直接発現させます。
- 5. マクロファージは異物の貪食や抗原提示を行う細胞であり、慢性炎症や遅延型アレルギー反応には関与しますが、アナフィラキシーショックのような即時型アレルギー反応の主役ではありません。正しくは:マクロファージは主に異物の貪食や抗原提示、サイトカイン産生に関与しますが、アナフィラキシーショックの即時的な症状を引き起こす脱顆粒反応の主役ではありません。選びやすい理由:免疫細胞として広く知られているため、一般的な免疫反応に関わると考えて選択してしまう可能性があります。混同注意:免疫応答全般におけるマクロファージの役割と、即時型アレルギー反応の特異的な細胞を混同する可能性があります。
国試ポイント
国家試験では、アレルギー反応の分類(I型~IV型)と、それぞれの型における主要な細胞、関与する抗体、および主要な化学伝達物質に関する知識が頻繁に問われます。アナフィラキシーショックはI型アレルギーに分類され、肥満細胞とIgE抗体が中心的な役割を果たすことを理解しているかが重要です。
混同注意
肥満細胞と似た役割を持つ細胞として好塩基球があり、これらもIgEを介したアレルギー反応に関与します。しかし、組織に常在し広範囲に分布することで全身性反応の主要な引き金となるのは肥満細胞です。また、他の免疫細胞(B細胞、T細胞、マクロファージなど)が関与するアレルギー反応(例:II型、III型、IV型)と混同しないように、各細胞の具体的な役割と関与するアレルギーのタイプを明確に区別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、アナフィラキシーショックの症状と対応、関与する主な化学伝達物質(ヒスタミン、ロイコトリエンなど)の作用、そしてそれらに対する治療薬の作用機序について深く理解しているかが問われるでしょう。また、他のアレルギー反応タイプ(II型、III型、IV型)との比較や、それぞれの主要な病態メカニズム、関与する細胞や物質についても確認しておく必要があります。
関連知識
アナフィラキシーショックの治療にはアドレナリン(エピネフリン)が第一選択薬として用いられます。これは、アドレナリンがα作用で血管を収縮させ血圧を上昇させ、β作用で気管支を拡張させ呼吸を改善する効果があるためです。また、ヒスタミンの作用を阻害する抗ヒスタミン薬や、炎症を抑えるステロイド薬も補助的に使用されます。