呼吸生理で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
二酸化炭素は体内で炭酸となり、水素イオンを生成することでpHを低下させます。したがって、動脈血二酸化炭素分圧の増加は呼吸性アシドーシスを引き起こし、pHを低下させます。
選択肢ごとの解説
- 1. シャントとは、肺胞内のガス交換が行われないにもかかわらず血液が流れる状態を指します。この場合、換気(V)はほぼゼロで血流(Q)があるため、換気血流比(V/Q)は『低下』し、ゼロに近づきます。正しくは:シャントが発生すると、その部位における換気血流比は低下する(ゼロに近づく)。選びやすい理由:換気と血流のバランスが崩れるという点で、何か比率が変動するという考え方は正しいですが、具体的な方向性を誤解しやすい。混同注意:死腔(V/Q比が無限大に近づく状態)と混同しやすい。
- 2. 肺伸展受容器(ヘーリング・ブロイアー反射)の興奮は、肺の過膨張を防ぐために吸気を『抑制』し、呼気を促進する働きがあります。正しくは:肺伸展受容器が興奮すると、吸気が抑制される。選びやすい理由:反射が「促進」という言葉と結びつきやすいため。混同注意:吸気の中枢(延髄)や化学受容器の役割と混同しやすい。
- 3. 二酸化炭素は酸素よりも水溶性が高いため、肺胞から血液への拡散速度は酸素の約20倍『高い』とされています。正しくは:肺胞における二酸化炭素の拡散能力は酸素よりも高い。選びやすい理由:生体活動において酸素が重要であるため、拡散能力も高いと思われがち。混同注意:酸素と二酸化炭素の分圧差や、ヘモグロビンとの結合能力と混同しやすい。
- 4. 血液のpHが上昇(アルカローシス)すると、ヘモグロビンと酸素の親和性が『高まり』、酸素解離曲線は『左方』に移動します。右方移動はpH低下(アシドーシス)や体温上昇、2,3-BPG増加などで起こります。正しくは:血液のpHが上昇すると、酸素解離曲線は左方に移動する。選びやすい理由:右方移動と左方移動の条件が逆になりやすい。ボーア効果の理解が不確かだと間違えやすい。混同注意:ボーア効果(pH低下で右方移動)と、逆のアルカリ性での挙動が混同しやすい。
- 5. 正解。二酸化炭素は血液中で水と反応して炭酸(H2CO3)となり、その後、水素イオン(H+)と重炭酸イオン(HCO3-)に解離します。動脈血の二酸化炭素分圧(PaCO2)が増加すると、この反応が右に進みH+が増加するため、血液は酸性になりpHは低下します。これは呼吸性アシドーシスの原因となります。混同注意:換気亢進によるPaCO2低下とpH上昇の関係と混同することがあるが、これは逆方向の現象。
国試ポイント
呼吸生理の基本的な概念、特に換気血流比、呼吸調節、ガス拡散、酸素解離曲線、酸塩基平衡に関する知識が問われています。それぞれの選択肢が独立した重要な論点であり、正確な理解が求められます。
混同注意
各選択肢が、似たような生理現象や逆の現象と混同しやすい要素を含んでいます。例えば、シャントと死腔、吸気促進と抑制、酸素と二酸化炭素の拡散能の比較、酸素解離曲線の右方・左方移動の条件などです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、各選択肢のキーワード(シャント、肺伸展受容器、拡散能、酸素解離曲線、PaCO2とpH)に注目し、その生理的メカニズムや影響の方向性(増加・減少、促進・抑制、右方・左方)が正確に記述されているかを確認します。
関連知識
呼吸中枢と化学受容器の役割、ボーア効果、ヘーリング・ブロイアー反射、酸塩基平衡(呼吸性アシドーシス・アルカローシス、代謝性アシドーシス・アルカローシス)、ガス交換の法則(フィックの法則)、換気血流比の異常(シャント、死腔)。