脳卒中治療ガイドライン2021のリハビリテーションで推奨グレードが最も高いのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
脳卒中治療ガイドライン2021では、軽度から中等度の上肢麻痺がある患者に対し、麻痺側上肢を強制的に使用させる訓練(CIMT)が「強く勧められる(推奨グレードA)」と記載されています。これは、非麻痺側の使用を制限し、麻痺側の集中的な反復練習を行うことで、上肢機能の改善が期待できるとされています。他の選択肢は、推奨グレードがC1やC2レベルであるか、エビデンスがまだ十分でないため、最も高い推奨グレードとは言えません。
選択肢ごとの解説
- 1. 脳卒中後の運動機能回復を目的とした薬物療法は、現時点では明確な有効性が確立されておらず、推奨グレードはAやBといった高いレベルではありません。正しくは:運動機能障害に対する薬物療法は、推奨グレードが高くないことを明記する。選びやすい理由:薬物療法は一般的な治療法であるため、効果が高いと誤解する可能性がある。混同注意:他の神経疾患における薬物療法の高い有効性と混同しやすい。
- 2. 半側空間無視に対する鏡像を用いた訓練は、運動麻痺に対する鏡療法とは異なり、推奨グレードは高くありません。半側空間無視に対するエビデンスは限定的であり、視覚探索訓練など他のアプローチがより強く推奨される場合があります。正しくは:半側空間無視に対して推奨されるのは、視覚探索訓練やプリズム適応訓練などであり、鏡像を用いた訓練の推奨度はそれほど高くありません。選びやすい理由:運動麻痺に対する鏡療法の有効性が高いため、半側空間無視にも同様に有効と誤解しやすい。混同注意:運動麻痺に対する鏡療法と、半側空間無視に対するアプローチを混同しやすい。
- 3. 脳卒中後の中枢性疼痛に対する反復性経頭蓋磁石刺激(rTMS)は、有効性を示す報告はあるものの、まだ十分なエビデンスが蓄積されているとは言えず、推奨グレードは高レベルではありません。正しくは:rTMSは今後の研究が期待される治療法であり、現時点では推奨グレードがAといった高いレベルにはないことを明確にする。選びやすい理由:新しい治療法であり、先進的なイメージから効果が高いと期待してしまう。混同注意:うつ病など他の疾患におけるrTMSの高い有効性と混同しやすい。
- 4. 摂食嚥下障害に対するバルーンカテーテル訓練は、咽頭の感覚改善や嚥下反射誘発を目的として行われることがありますが、ガイドラインにおける推奨グレードは、他の一般的な摂食嚥下リハビリテーション(間接訓練、直接訓練など)と比較して高いわけではありません。正しくは:摂食嚥下障害に対する訓練では、嚥下訓練そのものや、食事内容の調整などが推奨度が高い。選びやすい理由:特殊な器具を用いる訓練であり、効果が高そうに感じられる。混同注意:他の嚥下訓練法と効果の程度を混同しやすい。
- 5. 正解。脳卒中治療ガイドライン2021において、軽度から中等度の上肢麻痺を呈する慢性期脳卒中患者に対する『麻痺側上肢を強制的に使用させる訓練(Constraint-Induced Movement Therapy: CIMT)』は、上肢機能改善に有効性が高く、推奨グレードA(強く勧められる)とされています。これはリハビリテーション分野で最も高い推奨グレードの一つです。
国試ポイント
脳卒中治療ガイドラインにおけるリハビリテーションの推奨グレードに関する知識が問われています。特に、推奨グレードA(強く勧められる)となっている治療法を正確に理解しているかが重要です。
混同注意
各リハビリテーション方法の具体的な内容とその効果、そしてガイドラインにおける推奨グレードを混同しやすいです。特に、運動麻痺に対する鏡療法と半側空間無視に対する鏡像を用いた訓練の違いや、薬物療法の推奨度など、詳細な知識が求められます。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、他のリハビリテーションアプローチ(例えば、ロボットリハビリテーション、電気刺激、仮想現実訓練など)や、各障害(失語症、嚥下障害など)に対する推奨グレード、あるいは慢性期だけでなく急性期のリハビリテーションに関する推奨事項に注目して学習すると良いでしょう。特に、推奨グレードAやBの項目は確実に押さえる必要があります。
関連知識
脳卒中治療ガイドラインは、最新のエビデンスに基づき、脳卒中の急性期から慢性期までの治療・管理について推奨度を提示しています。作業療法士は、このガイドラインを理解し、根拠に基づいたリハビリテーションを提供することが求められます。CIMTは、運動学習理論(use-dependent plasticity)に基づいた治療法であり、対象患者の選定も重要です。