血液透析で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
日本では、新規透析導入の原因疾患として糖尿病性腎症が最も多いとされています。これは公衆衛生上も重要な知識です。選択肢1はリン制限とカルシウム制限を混同、選択肢2は透析中の運動のメリットと禁忌状況を誤解、選択肢3はシャント保護の重要性を無視、選択肢4は腎臓のエリスロポエチン産生機能の低下を理解していない点で誤りです。
選択肢ごとの解説
- 1. 血液透析患者において、リン酸カルシウム沈着や異所性石灰化を防ぐためにリンの摂取制限は重要ですが、カルシウムの摂取を完全に禁止することはありません。むしろ、低カルシウム血症を予防するために適切な量のカルシウム摂取やカルシウム製剤の使用が指示される場合があります。正しくは:リンの摂取を制限することが推奨されます。選びやすい理由:腎不全患者ではリンとカルシウムのバランスが崩れやすいことを知っていると、どちらかの摂取制限が必要だと連想しやすい。混同注意:リンの摂取制限と混同している可能性があります。
- 2. 透析中の運動は、患者の心肺機能維持や筋力低下予防のために推奨されることが多く、医師や理学療法士の指導のもとで安全に行われるべきです。禁忌となるのは、重度の合併症がある場合や体調不良時など、特定の状況に限られます。正しくは:透析中の運動は、個々の状態に合わせて推奨されることがあります。選びやすい理由:透析は身体に負担がかかる治療であるため、運動は控えるべきだと考えがち。混同注意:安静臥床が必要な急性期の病態や、合併症がある場合の運動制限と混重している可能性があります。
- 3. シャント側の上肢で血圧測定を行うと、シャントに過度な圧力がかかり、シャントの閉塞や損傷、機能不全を引き起こす危険性があるため、避けるべきです。シャントの保護は非常に重要です。正しくは:シャントが造設されている腕ではない方の上肢で血圧を測定します。選びやすい理由:特に理由がなければ、どちらの腕で測定しても良いと思われがちですが、シャントがある場合は特別な配慮が必要です。混同注意:通常の血圧測定の知識と、シャント造設時の特別な注意点とが混同している可能性があります。
- 4. 腎臓はエリスロポエチンを産生する主要な臓器です。慢性腎臓病が進行し腎機能が低下すると、エリスロポエチンの産生能力も低下するため、腎性貧血が生じやすくなります。したがって、エリスロポエチン産生は亢進するのではなく、低下します。正しくは:エリスロポエチンの産生は低下します。選びやすい理由:貧血が起きるからエリスロポエチンが増える、と誤解しがちですが、腎臓での産生そのものが低下します。混同注意:貧血に対する身体の代償反応(例えば、骨髄での赤血球産生促進)と、エリスロポエチン自体の産生臓器である腎臓の機能不全を混同している可能性があります。
- 5. 正解。厚生労働省の統計などによると、日本における新規透析導入の原因疾患として、長年にわたり糖尿病性腎症が最も多くの割合を占めています。
国試ポイント
血液透析患者の管理や病態に関する基本的な知識が問われています。特に、透析導入の原因疾患、シャント管理の注意点、腎性貧血のメカニズム、食事指導、リハビリテーションの可否など、多岐にわたる側面から理解が求められます。
混同注意
腎不全に伴う合併症(電解質異常、貧血、骨代謝異常など)の病態生理、それらに対する治療介入(食事制限、薬物療法)に関する知識が混同しやすいです。また、シャント管理の注意点や透析中の運動療法についても、誤った認識を持ちやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、透析導入原因の第2位、第3位の疾患(例: 慢性糸球体腎炎、腎硬化症など)や、具体的な食事制限の内容(カリウム、リン、塩分、水分)、シャントのトラブル(狭窄、閉塞、感染)のサインと対応などが問われる可能性があります。
関連知識
慢性腎臓病の病期分類、合併症(腎性貧血、骨ミネラル代謝異常、体液貯留、電解質異常など)、透析の種類と適応、透析患者の生活指導(食事療法、運動療法)、シャントの管理と合併症、腎移植について。