精神科の集団作業療法で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
集団作業療法は、集団の力動を活用しながらも、最終的な目的は参加している個々人の治療目標の達成と成長にあります。そのため、集団全体のまとまり(凝集性)も重要ですが、それに固執するのではなく、各メンバーの個人的な感情や体験、ニーズを尊重し、それが治療にどう貢献するかを優先的に考慮することが精神科領域では特に重要です。参加者個々の主観的な体験を大切にし、それを表現できる安全な場を提供することで、自己理解の深化や対人関係スキルの向上につながります。
選択肢ごとの解説
- 1. オープングループは、活動期間中にメンバーの出入りが自由で、参加者が流動的である形式のグループです。固定のメンバーで活動を行うのはクローズドグループの特徴です。正しくは:オープングループでは、メンバーの入れ替わりがあり、参加者が流動的です。選びやすい理由:グループの安定性という点で、固定メンバーの方が良いという印象から選びやすいかもしれません。混同注意:クローズドグループの定義と混同しやすいです。
- 2. クローズドグループは、開始時にメンバーが固定され、終了時までそのメンバーで活動を続ける形式です。メンバー間の結束が強く、途中の離脱は比較的起こりにくいとされています。オープングループの方が、メンバーの入れ替わりが自由なため、結果的に離脱(活動への参加停止)が起こりやすい状況と言えます。正しくは:クローズドグループでは、集団の結束が強く、途中の離脱は比較的少ない傾向にあります。選びやすい理由:クローズドという言葉から、閉じ込められているようなネガティブな印象を受け、離脱と結びつけてしまいがちです。混同注意:オープングループとクローズドグループそれぞれの特性、特にメンバーの流動性と結束力の違いと混同しやすいです。
- 3. 一般的に、集団作業療法の適切な規模は治療者1名に対して6~8名程度が推奨されます。15名は多すぎ、個々のメンバーへのきめ細やかな関わりや安全管理が困難になる可能性があります。正しくは:治療担当者1人に対して、およそ6~8人程度のメンバーで集団活動を行うのが適切です。選びやすい理由:大人数の方が活発な活動になりそう、あるいは経済的効率が良い、といった誤った認識から選びやすいかもしれません。混同注意:大規模集団と小規模集団それぞれの治療的効果や管理の難易度と混同しやすいです。
- 4. 同質集団(例えば同じ疾患、同じ症状レベル、同じ目的を持つメンバー)の方が、共通の体験や課題を持っているため、参加者同士で共感が得られやすい傾向にあります。異質集団は多様な視点が得られる利点はありますが、共感という点では同質集団に劣ります。正しくは:同質集団は異質集団よりも参加者同士の共感が得られやすいです。選びやすい理由:異質な人々と交流することで新たな発見や理解が深まるというポジティブな側面と混同し、共感も深まると誤解しやすいです。混同注意:異質集団が持つ多様性から得られる利点(多様な視点、新たな気づき)と、同質集団が持つ共感・一体感の利点と混同しやすいです。
- 5. 正解。集団作業療法は、集団の力動を活用しながらも、最終的な目的は参加している個々人の治療目標の達成と成長にあります。そのため、集団の凝集性を高めることは重要ですが、それが目的ではなく、個人の主観的体験やニーズを優先し、それが治療にどう結びつくかを重視します。特に精神科領域では、個人の感情や体験を尊重し、それを表現できる場を提供することが治療的意義を持ちます。
国試ポイント
精神科における集団作業療法の特徴と原則に関する知識が問われています。特に、グループの種類(オープン/クローズド)、適切な集団規模、同質/異質集団の特性、そして集団療法における個人と集団の関係性(個人の体験の優先度)といった基礎知識が重要です。それぞれの特性を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
オープングループとクローズドグループの特性、同質集団と異質集団の利点、集団の凝集性と個人のニーズの優先順位が混同されやすいポイントです。集団療法では集団の力動も重要ですが、あくまで個人の治療目標達成のための手段であるという視点が重要です。
次に同じ論点が出たら
次に類題が出るとしたら、特定の疾患(例:統合失調症、うつ病)における集団作業療法の具体的な内容や留意点、または集団内の特定の場面(例:メンバー間の対立、非参加者への対応)における治療者の介入方法を問う問題が考えられます。また、集団作業療法の治療因子について具体的に問われる可能性もあります。
関連知識
集団力学(グループダイナミクス)、集団療法の治療因子(カタルシス、普遍性、希望の注入、自己理解など)、各グループ形式(オープン/クローズド、同質/異質)のメリット・デメリット、治療者の役割、集団療法のプロセス(導入期、作業期、終結期)。