Brown-Séquard症候群で、損傷レベル以下の対側に最も出現しやすい症状はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
Brown-Séquard症候群は、脊髄の片側が損傷することで生じる症候群です。温痛覚を伝える外側脊髄視床路は、脊髄に入った後、同側の脊髄内で交差し、対側を上行します。そのため、脊髄の半側が損傷されると、損傷レベルより下方の身体の反対側に温痛覚が麻痺します。これに対し、運動麻痺(錐体路)や深部覚障害(後索路)は、それぞれ脊髄を同側で下降・上行するため、損傷レベルより下方の同側に出現するのが特徴です。したがって、損傷レベル以下の対側に現れるのは温痛覚障害となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 筋強剛は、錐体外路系障害で特徴的な症状であり、Brown-Séquard症候群における損傷レベル以下の対側で最も特徴的な症状とは言えません。正しくは:筋強剛ではなく、上位運動ニューロン障害による筋トーヌスの亢進(痙縮)は同側に生じます。選びやすい理由:脊髄損傷による運動機能障害として、筋の異常を漠然と連想しやすいかもしれません。混同注意:痙縮や筋力低下といった錐体路障害に伴う症状と混同しやすい。
- 2. 運動麻痺(特に錐体路障害による)は、脊髄損傷レベルより下方の身体の同側に出現します。錐体路は脊髄を下降する途中で交差せず、延髄で大部分が交差(錐体交叉)した後、脊髄を同側で下降するためです。正しくは:運動麻痺は、損傷レベルより下方の同側に出現します。選びやすい理由:脊髄損傷といえば運動麻痺という一般的なイメージから選びやすいかもしれません。混同注意:感覚障害と運動麻痺の局在、および神経路の交差部位を混同しやすい。
- 3. 正解。温痛覚を伝える外側脊髄視床路は、脊髄に侵入後すぐに脊髄内で交差して対側を上行します。そのため、Brown-Séquard症候群では、損傷レベルより下方の身体の反対側に温痛覚障害が出現するのが特徴です。
- 4. 深部覚(位置覚、振動覚、識別覚など)を伝える後索路は、脊髄を同側で上行し、延髄で交差します。したがって、Brown-Séquard症候群では、損傷レベルより下方の身体の同側に出現します。正しくは:深部覚障害は、損傷レベルより下方の同側に出現します。選びやすい理由:感覚障害の一種であるため、他の感覚障害と混同しやすいかもしれません。混同注意:温痛覚と深部覚の神経路の交差部位(脊髄内か延髄か)を混同しやすい。
- 5. 手袋靴下型感覚障害は、主に末梢神経障害(例:糖尿病性神経障害、多発性神経炎)でみられる特徴的な感覚障害パターンであり、Brown-Séquard症候群のような脊髄損傷で特定のレベル以下の対側に生じる症状ではありません。正しくは:この症状は末梢神経障害でみられます。選びやすい理由:感覚障害全般の知識として知っているため、選択肢として目を引きやすいかもしれません。混同注意:脊髄損傷と末梢神経障害における感覚障害のパターンを混同しやすい。
国試ポイント
Brown-Séquard症候群における脊髄の主要な伝導路(錐体路、外側脊髄視床路、後索路)の走行と交差部位を正確に理解しているかを問う典型的な問題です。特に、同側と対側、損傷レベルより上か下か、という条件が重要になります。
混同注意
温痛覚と深部覚の障害部位(同側か対側か)、および運動麻痺の障害部位。また、脊髄円錐症候群や馬尾症候群など、他の脊髄障害における症状パターンとの混同。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合は、「どこの神経路が、どこで交差して、どのような症状が、身体のどの部位(同側か対側か、損傷レベルより上か下か)に出現するか」を判断軸として確認すると良いでしょう。特に、感覚の種類(温痛覚、深部覚)と運動機能で神経路の走行が異なる点を注意深く比較してください。
関連知識
外側脊髄視床路: 温痛覚を伝える。脊髄に入ってすぐに交差し、対側を上行。後索路: 深部感覚(振動覚、位置覚、識別覚)を伝える。脊髄を同側で上行し、延髄で交差。錐体路: 随意運動を伝える。延髄で錐体交叉した後、脊髄を下行(外側皮質脊髄路は対側、前皮質脊髄路は同側だが、運動麻痺の主症状は外側皮質脊髄路によるものが大きい)。Brown-Séquard症候群では損傷レベル以下の同側に運動麻痺が生じる。Brown-Séquard症候群の典型的な症状: 損傷レベル以下の同側: 運動麻痺(錐体路障害)、深部覚障害(後索障害)。損傷レベル以下の対側: 温痛覚障害(外側脊髄視床路障害)。損傷レベル直下: 全ての感覚消失。