36歳の男性。手にバスケットボールが当たって受傷した。来院時の手指の写真(別冊No.1A)と単純エックス線写真(別冊No.1B)を別に示す。考えられるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
写真Aでは左手示指の遠位指節関節(DIP関節)が屈曲位のまま伸展できず、爪周囲に皮下出血と腫脹を認める。写真Bの単純エックス線写真では、DIP関節に付着する伸筋腱付着部から骨片が剥離しており、これは槌指(マレットフィンガー)の典型的な所見である。バスケットボールが当たったという受傷機転も合致する。
選択肢ごとの解説
- 1. Bennett骨折は、母指CM関節部の関節内骨折で、写真の示指のDIP関節の損傷とは異なる。正しくは:母指の付け根(CM関節)に発生する関節内骨折である。選びやすい理由:骨折を伴う外傷であるため、手の他の骨折と混同しやすい。混同注意:他の手の骨折、特に舟状骨骨折やボクサー骨折などの外傷性疾患。
- 2. Heberden結節は、DIP関節に生じる変形性関節症による硬性結節であり、外傷性の急性疾患である本症例とは異なる。慢性の経過をたどる。正しくは:DIP関節の変形性関節症で、慢性的な経過をたどり外傷性ではない。選びやすい理由:DIP関節の異常であるため、部位が共通している点から混同しやすい。混同注意:慢性的な関節変性疾患、特にBouchard結節(PIP関節)や変形性関節症。
- 3. 正解。写真Aで示指DIP関節の屈曲変形と腫脹、写真BでDIP関節伸筋腱付着部の剥離骨折が確認でき、バスケットボールによる受傷機転からも槌指(マレットフィンガー)の典型的な所見である。選びやすい理由:受傷機転、臨床所見、画像所見が全て一致しているため、これが正しい選択肢であると判断できる。混同注意:腱性槌指(骨折を伴わないもの)
- 4. ばね指(弾発指)は、指の屈筋腱と腱鞘の炎症によるもので、指を曲げ伸ばしする際に引っかかりが生じる。DIP関節の伸展障害や骨折を伴う本症例とは異なる。正しくは:指の屈筋腱と腱鞘の不調和による弾発現象を特徴とする。選びやすい理由:指の関節の異常であるため、混同しやすい。指の動きに関する疾患である。混同注意:腱鞘炎、関節リウマチなどの関節疾患。
- 5. ボクサー骨折は、第5中手骨頸部の骨折であり、写真の示指のDIP関節の損傷とは部位が異なる。通常、拳を強く打ち付けた際に発生する。正しくは:第5中手骨頸部骨折を指す。選びやすい理由:手にバスケットボールが当たったという外傷機転から、他の骨折を想起しやすい。混同注意:他の手の骨折、特にBennett骨折など。
国試ポイント
槌指の病態、臨床像、画像所見(特に骨性マレット)を理解し、他の疾患と鑑別できるか。
混同注意
腱性槌指と骨性槌指。骨折を伴わない腱断裂によるものは腱性槌指、骨片剥離を伴うものは骨性槌指と呼ばれる。
次に同じ論点が出たら
同様の症例では、手指DIP関節の変形、伸展障害の有無、およびエックス線写真でのDIP関節周辺の骨折・骨片の有無を確認して判断する。
関連知識
槌指の治療法として、DIP関節を伸展位に保つスプリント固定が一般的である。骨性マレットで転位が大きい場合は手術の適応となる。