Danielsらの徒手筋力テストの段階5及び4の検査を図に示す。検査者が抵抗を加える位置で正しいのはどれか。2つ選べ。
画像の選択肢を選ぶと答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・4番
解説
Danielsらの徒手筋力テストにおいて、抵抗を加える部位は、測定したい筋が最大限に力を発揮できる末端の関節付近に適用し、かつ関節を安定させる部位とは異なる箇所に抵抗を加えるのが原則である。選択肢3は前腕遠位部、選択肢4は下腿遠位部に抵抗を加えており、いずれもてこの原理を利用して筋力評価を正確に行える適切な部位である。
選択肢ごとの解説
- 1. この図は肩甲骨挙上を示しており、抵抗を加えるべきは肩甲骨の挙上作用に対するものであり、上腕部ではない。図の抵抗は上腕部に加えられており不適切である。正しくは:肩甲骨挙上に対する抵抗は、肩峰または肩甲骨上角に上方から下方へ加えるべきである。選びやすい理由:上肢の運動のため、上腕部に抵抗を加えることが妥当であると誤解しやすい。混同注意:三角筋による肩関節外転に対する抵抗と混同している可能性がある。肩甲骨運動と肩関節運動の区別ができていない。
- 2. この図は肘屈曲の評価であるが、抵抗は肘関節に近い上腕遠位部に加えられている。肘屈筋群の筋力を効果的に評価するためには、てこの原理から、より遠位である前腕の末梢部に抵抗を加えるべきである。正しくは:肘屈曲に対する抵抗は、前腕遠位部(手関節の近位)に加えるべきである。選びやすい理由:肘関節の動きなので、その近くに抵抗を加えるのが自然だと感じやすい。混同注意:上腕二頭筋の作用点と抵抗点の関係を誤解している。てこの原理の理解が不足している。
- 3. 正解。この図は股関節屈曲、外転、外旋、および膝屈曲(縫工筋の検査)を示している。抵抗は下腿の遠位部、足関節付近に加えられており、てこの原理から縫工筋の筋力を効果的に評価できる適切な部位である。選びやすい理由:複数の関節運動を伴うため、どこに抵抗を加えるか迷うことがあるが、下腿遠位部が最も効率的である。混同注意:他の股関節や膝関節の単独運動に対する抵抗と混同することがある。
- 4. 正解。この図は膝屈曲の評価を示しており、抵抗は下腿の遠位部、足関節付近に下方へ加えられている。ハムストリングスなどの膝屈筋群の筋力を効果的に評価できる適切な部位である。選びやすい理由:膝関節の動きなので、膝関節近くに抵抗を加えるのが妥当だと感じやすい場合があるが、てこの原理から遠位部が正しい。混同注意:大腿四頭筋による膝伸展に対する抵抗と混同したり、抵抗方向を誤解したりすることがある。
- 5. この図は股関節内転の評価を示しているが、抵抗は膝関節付近の大腿遠位部に下方へ加えられている。股関節内転筋群の筋力を効果的に評価するためには、より遠位である下腿の末梢部、すなわち足関節付近に抵抗を加えるべきである。正しくは:股関節内転に対する抵抗は、下腿遠位部(足関節の近位)に加えるべきである。選びやすい理由:大腿部の運動のため、大腿部に抵抗を加えることが妥当であると誤解しやすい。混同注意:股関節外転に対する抵抗(大腿外側部)と混同したり、てこの原理の理解が不足している可能性がある。
国試ポイント
徒手筋力テスト(MMT)における抵抗の加え方と肢位の原則を理解しているか。
混同注意
抵抗を加える部位と、安定させる部位の混同。または、てこの原理を理解せず、筋の起始部に近い部位に抵抗を加えてしまう。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合は、抵抗を加える部位が、運動を行う関節から最も遠い末梢部分で、かつ当該筋の作用線と逆向きに抵抗が加えられているかを判断する。
関連知識
MMTの各段階(0〜5)の評価基準、特に段階5(完全な抵抗に抗して運動可能)と段階4(中等度の抵抗に抗して運動可能)の区別。MMT実施時には、検者は被検者の関節を安定させ、正しい運動方向を確保することが重要である。また、筋の作用方向と抵抗方向は逆向きになる。