慢性心不全患者の在宅生活指導で適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第60回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
慢性心不全患者では、心ポンプ機能の低下により全身の循環が滞りやすく、特に下肢の静脈還流障害から下腿浮腫が出現しやすいです。下腿浮腫は心不全悪化の兆候として重要であり、患者自身が早期に異常を認識し、医療機関へ報告できるよう指導することは、病状管理において極めて適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 慢性心不全患者において、過度な安静は廃用症候群を招き、ADLの低下や心機能の悪化につながる可能性があります。個々の病態に応じた適切な運動療法や活動の指導が重要であり、過度な安静は不適切です。正しくは:「個々の病態と心機能に応じた、適切な活動レベルを設定し、運動を促す。」選びやすい理由:心臓への負担を減らすという考えから、安静が良いと誤解しやすいですが、慢性期においては不適切です。急性増悪期など一時的な安静は必要ですが、長期的な過度な安静は避けるべきです。混同注意:急性期の心不全管理と慢性期の心不全管理における安静度の違い。
- 2. しゃがむ姿勢は腹圧を上昇させ、心臓への負担を増大させるため、慢性心不全患者には避けるべき動作です。特に膝や股関節を深く曲げた姿勢は、下肢からの静脈還流を妨げ、心臓に急激な血液量の変化をもたらす可能性もあります。正しくは:「体幹を前屈させる動作やしゃがみ込みを避け、長い柄の清掃用具を使用するなど、身体への負担が少ない方法を指導する。」選びやすい理由:一般的な家事動作として推奨される場合があるため、深く考えずに選択してしまう可能性があります。混同注意:一般的な運動指導と、心不全患者における運動制限。
- 3. 息切れ時、特に心不全による肺うっ血が原因の場合、背臥位(仰向け)をとると静脈還流が増加し、肺への血液量が増えることで息切れが悪化する危険性が高いです。むしろ、上体を起こす(半坐位や起坐位)方が呼吸が楽になることが多いです。正しくは:「息切れ時には、上体を起こして(半坐位や起坐位)楽な姿勢をとるように促す。」選びやすい理由:疲れたら横になるという一般的な感覚から選択しやすいです。混同注意:呼吸困難時の体位と、安静時の体位。
- 4. 正解。慢性心不全では、心臓のポンプ機能低下により全身の血液循環が悪化し、特に下肢に血液が滞留しやすくなるため、下腿浮腫が出現しやすいです。これは心不全の悪化を示す重要なサインの一つであるため、患者自身が早期に異常に気づき、医療者に報告できるよう注意を促すことは適切な在宅生活指導です。
- 5. 息をこらえる(バルサルバ効果)と、胸腔内圧が上昇し、心臓への負担が急激に増大するため、心不全患者には非常に危険な行為です。心拍出量の低下や不整脈の誘発につながる可能性があります。正しくは:「重い物を持つ際は息を止めず、ゆっくりと呼吸をしながら行うこと、または重い物を持ち上げること自体を避けるように指導する。」選びやすい理由:日常生活で無意識に行うことがある動作であり、特に心臓に負担がかかるとは認識しにくい可能性があります。混同注意:一般的な筋力トレーニングにおける呼吸法と、心疾患患者における呼吸法。
国試ポイント
慢性心不全患者の在宅生活指導に関する基本的な知識が問われています。特に、心臓への負担を軽減するための活動制限、症状悪化のサインの認識、および日常生活動作における注意点について理解しているかを確認する問題です。
混同注意
急性期の心不全管理と慢性期の管理、および一般的な健康指導と心疾患患者への特異的な指導を混同しないように注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出題された場合、心不全の症状とセルフモニタリングの重要性、日常生活における具体的な活動制限や工夫、服薬管理や食事管理(塩分・水分制限)、疾患教育における自己管理能力の向上といった点が問われる可能性があります。
関連知識
慢性心不全の病態生理(特に浮腫の原因)、心不全患者のADL指導(活動制限、避けるべき動作)、バルサルバ効果とその危険性、心不全の症状と観察項目(呼吸困難、浮腫、体重増加など)、呼吸困難時の体位。