心理検査と評価内容の組合せで適切なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
内田・クレペリン精神検査は、簡単な一桁の足し算を連続して行わせる作業検査法です。作業の量や質、作業曲線のパターンから、個人の能力面(作業能率、集中力、持続力)だけでなく、性格面(几帳面さ、粘り強さ、感情の安定性など)や行動面(衝動性、持続性など)の特徴を客観的に把握することができます。主に適性検査や精神医学領域で用いられ、特に精神疾患患者の精神活動特性の把握にも有用とされています。
選択肢ごとの解説
- 1. P-Fスタディ(Picture-Frustration Study)は、投影法を用いた性格検査であり、欲求不満状況における個人の反応パターン(攻撃性や責任の所在など)を評価します。認知機能を直接評価するものではありません。正しくは:P-Fスタディ:欲求不満場面での反応様式や攻撃性選びやすい理由:心理検査の名称は知っていても、具体的な評価内容を正確に把握していない場合に選びやすい選択肢です。混同注意:ウェクスラー成人知能検査(WAIS)や日本版MMSEなどの認知機能検査と混同しやすいです。
- 2. Rorschachテスト(ロールシャッハテスト)は、インクの染みを用いた投影法性格検査であり、個人のパーソナリティの深層構造、無意識的な欲求、感情の特徴などを総合的に評価します。自己効力感は、特定の状況で目標を達成できるという自己に対する信念であり、主に質問紙法(例:一般性自己効力感尺度)で評価されます。正しくは:Rorschachテスト:パーソナリティの深層構造、無意識的な側面選びやすい理由:心理検査全般の知識があいまいな場合、投影法検査が性格や自己に関する何かを評価するという漠然とした知識から、自己効力感という言葉に引きずられてしまう可能性があります。混同注意:質問紙法による性格検査や自己概念尺度と混同しやすいです。
- 3. TAT(Thematic Apperception Test:主題統覚検査)は、絵を見て物語を作ることで、個人の欲求、感情、対人関係、葛藤など、パーソナリティの深層を評価する投影法性格検査です。認知症介護負担度は、介護者の負担感を評価するものであり、家族介護者に対する質問紙調査などで評価されます。正しくは:TAT:欲求、感情、対人関係、葛藤などパーソナリティの深層選びやすい理由:全く異なる概念を組み合わせた選択肢ですが、多種類の心理検査の名前だけを知っている場合に、正確な評価内容まで理解できていないと誤答する可能性があります。混同注意:認知症評価尺度(HDS-R, MMSEなど)や、介護者のストレス評価尺度と混同しやすいです。
- 4. WCST(Wisconsin Card Sorting Test:ウィスコンシンカードソーティングテスト)は、認知機能検査の一つで、概念形成、カテゴリーの転換、問題解決能力といった遂行機能を評価します。自我状態は、交流分析などで用いられる個人の心理状態(親、大人、子供の自我状態)を指す概念であり、WCSTが評価する内容とは異なります。正しくは:WCST:遂行機能(概念形成、注意の転換、問題解決能力)選びやすい理由:認知機能検査の名称は知っていても、その具体的な評価内容について正確な知識がない場合に、一般的な心理用語である「自我状態」と結びつけてしまいやすいです。混同注意:交流分析の自我状態尺度や、他の認知機能検査(記憶、注意など)の評価項目と混同しやすいです。
- 5. 正解。内田・クレペリン精神検査は、単調な計算作業を一定時間行わせ、その作業量や作業曲線の変化を分析することで、個人の作業能力、性格特性、行動傾向、集中力や持続力などを客観的に評価する検査です。特に性格・行動面の特徴を捉えることができるため、この組み合わせは適切です。
国試ポイント
この問題は、主要な心理検査の名称と、それがどのような側面(認知機能、性格、作業能力など)を評価するのかという基本的な知識を問うています。特に、各検査法の分類(投影法、質問紙法、作業検査法、認知機能検査など)と、その代表的な検査が評価する内容を正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
多くの心理検査が存在するため、特に名称が似ていたり、評価領域が一部重なったりする検査(例:様々な性格検査、複数の認知機能検査)は混同しやすいです。また、検査名から評価内容が推測しにくいものも多いため、個別に覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出題された場合、単に検査名と評価内容の丸暗記だけでなく、それぞれの検査がどのような理論的背景(例:投影法は無意識の側面を捉える、質問紙法は自己報告に基づいている)を持ち、どのような特徴(例:客観性、網羅性、実施時間)があるのか、また、どのような疾患や障害を持つ人に適用されやすいのか、といった深い理解が問われる可能性があります。
関連知識
心理検査は大きく分けて、知能検査、性格検査、発達検査、神経心理学的検査などに分類されます。性格検査はさらに質問紙法、投影法、作業検査法などに分けられ、それぞれ評価できる側面が異なります。作業療法士は、患者の状態を多角的に理解するために、これらの心理検査の目的や限界を把握しておく必要があります。