うつ病患者が訴えることのある妄想で、最も考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
うつ病患者に見られる妄想は、「微小妄想」と呼ばれるものが特徴的です。微小妄想には、自分を責める「罪業妄想」(例:「生きているだけで迷惑をかけている」)、経済的に破綻していると信じ込む「貧困妄想」、重篤な病気にかかっていると信じ込む「心気妄想」などがあります。選択肢4は、このうち罪業妄想の典型的な内容であり、うつ病患者に最も考えられる妄想です。
選択肢ごとの解説
- 1. これは自己の能力や価値を過大に評価する「誇大妄想」に該当します。うつ病では自己評価が極端に低下する微小妄想が一般的であり、誇大妄想は躁病や統合失調症で多く見られます。正しくは:「自分は何の役にも立たない人間だ」選びやすい理由:妄想全般の選択肢として提示されているため、妄想であるという点では合致しますが、うつ病という疾患特定の条件には合致しません。混同注意:うつ病における思考の障害全般と混同しやすいですが、妄想の内容がうつ病の典型とは異なります。
- 2. これも自己の価値を過大に評価する「誇大妄想」の一種です。うつ病ではこのような自己肯定的な妄想は通常見られず、躁病や統合失調症の症状として現れることが多いです。正しくは:「自分には資産が全くなく、将来が不安で仕方ない」選びやすい理由:妄想であるため、選択肢として目を引くかもしれませんが、うつ病の症状とは合致しません。混同注意:うつ病における精神病症状の一種と誤解しやすいが、内容が異なります。
- 3. これは他者から危害を加えられている、あるいは監視されていると感じる「被害妄想(迫害妄想、注察妄想など)」に該当します。これは統合失調症などでよく見られる妄想であり、うつ病に特徴的な妄想ではありません。正しくは:「私の内臓は腐り始めていて、もう長くない」選びやすい理由:妄想の一種であり、重い精神症状の表現として捉えられやすいですが、疾患特異性が異なります。混同注意:うつ病の悲観的な思考内容と、統合失調症の被害的な妄想を混同しやすいです。
- 4. 正解。うつ病では、自己の価値を極端に低く評価し、自分を責める「罪業妄想」や、経済的に困窮していると信じ込む「貧困妄想」、身体が重篤な病に侵されていると信じ込む「心気妄想」といった「微小妄想」が特徴的に見られます。「生きているだけで迷惑をかけている」という訴えは、典型的な罪業妄想であり、うつ病患者に最も多く見られる妄想の一つです。
- 5. これは特定の集団や個人から不当な扱いを受けていると信じ込む「被害妄想(関係妄想など)」に該当します。これは主に統合失調症や妄想性障害で見られる妄想であり、うつ病の典型的な症状ではありません。正しくは:「自分は回復の見込みがなく、治療費も払えない」選びやすい理由:入院環境などで実際に起こりうるトラブルと妄想が結びつきやすいため、リアリティがあるように感じられるかもしれませんが、疾患特異性が異なります。混同注意:うつ病の悲観的な思考と、統合失調症の被害的な妄想を混同しやすいです。
国試ポイント
うつ病に特徴的な精神病症状、特に妄想の内容を正確に理解しているかを問う問題です。躁病や統合失調症に見られる妄想との鑑別が重要となります。
混同注意
誇大妄想(躁病、統合失調症)と微小妄想(うつ病)、被害妄想(統合失調症、妄想性障害)と心気妄想・貧困妄想・罪業妄想(うつ病)、うつ病に伴う強い悲観的な思考と、訂正不能な誤った確信である妄想との区別。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われた場合、他の精神疾患(躁病、統合失調症など)に特徴的な妄想の種類と具体的な内容を問われる可能性があります。また、妄想と錯覚、幻覚などの知覚の異常との違いや、思考内容の異常(観念奔逸、思考途絶など)との鑑別も確認すべきポイントです。
関連知識
うつ病の診断基準(DSM-5またはICD-10/11)における精神病症状の有無と分類。主な精神疾患(うつ病、躁病、統合失調症、妄想性障害など)における各妄想の種類とその特徴。特に「微小妄想」という概念と、それがうつ病に特徴的であることの理解。