5歳の男児。痙直型両麻痺の脳性麻痺と診断されており、保育園での着替えや遊びへの参加が制限されている。自宅でも食事やトイレなどの身辺動作で介助を要している。この児のADL評価で最も適切なのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第61回作業療法士国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
PEDI(Pediatric Evaluation of Disability Inventory)は、小児の日常生活動作(ADL)、社会性、認知機能の発達レベルおよび介護者の介助量を多角的に評価できる尺度です。この事例の男児は脳性麻痺であり、着替え、遊び、食事、トイレなどの身辺動作に介助を要していることから、ADLの現状を総合的に把握するために最も適切な評価ツールであると言えます。
選択肢ごとの解説
- 1. MAS(Modified Ashworth Scale)は、筋緊張(特に痙縮)の程度を評価する尺度であり、子どものADLを総合的に評価する目的には不適切です。正しくは:ADLを評価したい場合は、PEDIなどのADL評価尺度を用いる必要があります。選びやすい理由:脳性麻痺では痙縮が主要な症状であるため、関連する評価法として選択肢に入っていると迷いやすいかもしれません。混同注意:筋緊張評価と日常生活動作(ADL)評価の目的を混同しやすいです。
- 2. MACS(Manual Ability Classification System)は、脳性麻痺のある子どもの手の使用能力を5段階で分類する評価尺度です。これは手の機能に特化しており、ADL全般を評価するものではないため不適切です。正しくは:ADLを評価したい場合は、PEDIなどのADL評価尺度を用いる必要があります。選びやすい理由:手の機能はADLに大きく影響するため、ADL評価の一部と誤解しやすいですが、MACSは手の操作能力に限定されます。混同注意:特定の身体機能(手の操作能力)の評価と、日常生活動作全般の評価を混同しやすいです。
- 3. 正解。PEDI(Pediatric Evaluation of Disability Inventory)は、小児の日常生活動作(ADL)、社会性、認知機能の発達レベルおよび介護者の介助量を多角的に評価できる尺度です。この事例の男児は脳性麻痺によるADLの制限があり、介助も要しているため、その現状を総合的に把握するのに最も適しています。
- 4. GMFCS(Gross Motor Function Classification System)は、脳性麻痺のある子どもの粗大運動能力を5段階で分類する尺度です。歩行などの粗大運動機能に特化しており、ADL全般を評価するものではないため不適切です。正しくは:ADLを評価したい場合は、PEDIなどのADL評価尺度を用いる必要があります。選びやすい理由:GMFCSは脳性麻痺の代表的な評価尺度であり、粗大運動機能はADLに大きく影響するため、ADL評価と混同しやすいです。混同注意:粗大運動機能の分類と、日常生活動作全般の評価を混同しやすいです。
- 5. Southern California Sensory Integration Test(SCSIT)は、固有受容覚、前庭覚、触覚などの感覚処理能力や知覚運動機能、眼球運動を評価するものであり、ADLを直接評価する目的には不適切です。正しくは:ADLを評価したい場合は、PEDIなどのADL評価尺度を用いる必要があります。選びやすい理由:発達障害や脳性麻痺の背景に感覚統合の問題が見られることがあるため、関連する評価法として連想しやすいかもしれませんが、直接的なADL評価ではありません。混同注意:感覚統合機能の評価と、日常生活動作(ADL)評価の目的を混同しやすいです。
国試ポイント
脳性麻痺などの小児期疾患を対象としたADL評価、粗大運動機能評価、筋緊張評価、感覚統合評価といった主要な評価ツールの区別とその目的を問う問題です。各評価尺度の適用対象と評価内容を正確に理解しているかが重要となります。
混同注意
MACSとGMFCSは脳性麻痺児の機能分類尺度であり、ADLに影響は与えますが、ADLそのものの総合的な評価ではありません。MASは筋緊張評価、SCSITは感覚統合評価であり、いずれも直接的なADL評価ではないため、これらの評価法とADL評価を混同しないよう注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、まず「誰の(成人か小児か)」「何を(ADLか、特定の身体機能か、感覚・認知かなど)」評価したいのかを明確にすることが重要です。その上で、各評価尺度の名称、目的、評価対象、評価内容、適応疾患を正確に思い出せるかを確認しましょう。
関連知識
MAS: Modified Ashworth Scale(筋緊張評価)。MACS: Manual Ability Classification System(脳性麻痺児の手の機能的能力分類)。PEDI: Pediatric Evaluation of Disability Inventory(小児のADL、社会性、認知機能、介助量評価)。GMFCS: Gross Motor Function Classification System(脳性麻痺児の粗大運動機能分類)。SCSIT: Southern California Sensory Integration Test(感覚統合機能評価)。